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 自治体の予算や施策に関する文書はWebサイトに掲載されていてもオープンデータではない。文字検索ができないPDFファイルが多いためだ。こうした文書を横断的に検索できるベンチャーのサービスが登場した。企業のビジネスに変革をもたらしている。

 「現在は新型コロナウイルスの感染防止のために不特定多数の来訪者を制限していて営業担当者が訪問できない自治体もあるが、WiseVine(ワイズバイン)を見るだけで網羅的に情報を確認できる」。こう話すのは内田洋行の風間淳経営企画統括部第1企画部長だ。

 内田洋行は自治体や小中学校、公共施設向けに教育機器や学校向け設備、クラウドサービスなどの販売を手がけている。自治体が翌年度の当初予算に盛り込む設備投資や物品購入の予算項目や金額は、内田洋行のような公共部門向けビジネスを展開する企業にとっては重要な情報源だ。

 これまで内田洋行は全国の営業担当者が自治体の役場に足を運んで財務課や情報公開コーナーにある分厚い予算書などをコピーしていた。しかし市町村数が多い地方では遠方の役所に出向いてすべての情報を集めるのは難しいという現実があった。

 ほとんどの自治体は現在、毎年議会で可決した予算や事務事業に関する文書をWebサイトに掲載している。しかし文書をPDF化した画像データが多いので文字で検索ができない。自治体に関わる最も重要な情報なのに、誰でも無償で二次利用や機械処理が可能なオープンデータになってないのだ。

 そこで内田洋行が2019年3月から試験的に導入したのが、WiseVineのSignal(シグナル)というサービスだ。WiseVineは野村総合研究所で国際機関や中央官庁、自治体などの政策立案のコンサルティングなどに携わっていた吉本翔生社長が2018年3月に設立したベンチャーだ。

 WiseVineのSignalは府省庁や全国の都道府県や市区町村などがWebサイトに公表している過去5年分の予算資料や事業計画、広報資料などを取り込んでテキスト化し、横断的に文字検索ができるサービスだ。行政機関が公開する文書に多いケイ線などを省けるように独自にチューニングしたOCR(光学的文字認識)を使って高い精度で文字化している。

図 WiseVineのSignalで「人工知能」というキーワードで検索した画面例
図 WiseVineのSignalで「人工知能」というキーワードで検索した画面例
(出所:WiseVine)
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 例えばSignalの画面で「人工知能」というキーワードで検索すると、人工知能を活用して介護保険のケアプランの作成を支援する予算を計上した自治体の予算資料などがずらりと並ぶ。インターネット検索よりも絞り込んだ詳細なデータが分かる。

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