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 ソフトウエア開発においてテストは時間を要する工程の1つだ。とりわけスマホゲームのテスト工程はユーザーごとにレベルや達成度が異なるためテストケースが多くなりがちで、かかる工数も増大しやすい。だがテストに時間をかけすぎると、開発とリリースを繰り返すゲーム開発のボトルネックになってしまう。

 テストをしっかりこなしながらリリースサイクルは守りたい。こうした相反する課題に取り組んでいるのがミクシィだ。大人気ゲーム「モンスターストライク(通称モンスト)」の開発現場では開発チーム体制を工夫したり、テストツールを自前で作成したりしてテスト工数の短縮に取り組み、高速開発につなげている。

ミクシィが開発するモンスターストライク
ミクシィが開発するモンスターストライク
(出所:ミクシィ)
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アップデートごとに開かれる優先度会議

 モンストはユーザーを満足させるためアップデートを繰り返している。最近は月に1度程度新バージョンを提供する。サーバーサイドの開発を手がけるモンスト事業本部開発室モンストサーバグループの王奇氏は「リリース当初よりも開発スピードが求められるようになった」と打ち明ける。ゲームの規模が大きくなるにつれて社外コンテンツとのコラボイベントを開いたり、キャンペーンを開催したりする機会が増えたからだ。

 アップデートの際に重要なのが実装する機能の選別である。機能をタスクとして分割し、期間内で開発できるようにしなければならない。適切なタスクの粒度を設定できなければ、作業が偏り全体の開発スピードに支障を来す。

 そこでモンストの開発チームは責任者を集めて「優先度会議」を開いている。この会議にはデザイン担当者やクライアントアプリ担当者、サーバー担当者、企画担当者など約20~30人が集まり、次期バージョンで実装すべき機能などを「最高」「高」「中」「低」「最低」の5段階の重要度で判定する。

 最高の重要度に分類されるのは、そのバージョンで必ず実装しなければならない機能になる。例えば「外部企業とのコラボレーション企画などはリリース時期をずらせないため優先度が最高になる」(佐藤俊宏モンスト事業本部ゲーム運営部マネージャー)。高に分類されるのはゲーム内の改修などがメインである。

 会議で議論される機能は毎回50項目以上ある。このように多数の機能を開発しなければならないが関係者で優先度の合意できているため現場で取りかかるタスクを選別しなくてもよくなる。王氏は「迷うことなく開発に集中できる」と会議の重要性を強調する。

モンスト事業本部開発室モンストサーバグループの王奇氏(左)と佐藤俊宏モンスト事業本部ゲーム運営部マネージャー
モンスト事業本部開発室モンストサーバグループの王奇氏(左)と佐藤俊宏モンスト事業本部ゲーム運営部マネージャー
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 デザイナーやエンジニアは優先度が高いと判断された機能から実装に移るが、開発チームメンバーの決め方は独特だ。実装機能ごとにチームが結成され、それぞれにデザイン担当者やエンジニア、QA(品質保証)担当者などが加わる。エンジニア1人がいくつかのチームに所属することになるが、機能ごとに最適な人材を割り当てることで素早い開発が可能になるわけだ。

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