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 ゲーム開発はいわばPoC(概念実証)の繰り返しである。操作性や難易度を繰り返しテストし、ユーザーが満足するゲームアプリに仕上げなければならない。しかも頻繁にアップデートしなければ、たちまちユーザーは逃げてしまう。ユーザーが満足するアプリを高速に開発・アップデートすることがゲーム開発企業には求められる。

 同じことがデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みを進める企業にも言える。新しい技術やアイデアを活用して期待した効果が得られるのかをPoCの繰り返しによって確認するからだ。バンダイナムコエンターテインメントが配信しているスマホゲームアプリ「ミニ四駆 超速グランプリ」の開発工程を例に、ユーザーが満足するアプリを高速開発する手法を学ぼう。

ミニ四駆 超速グランプリのゲーム画面例
ミニ四駆 超速グランプリのゲーム画面例
(出所:バンダイナムコエンターテインメント)
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ぶれないコンセプトが高速開発につながる

 ミニ四駆 超速グランプリのプロデューサーを務めているバンダイナムコエンターテインメントのNE事業部第2プロダクションプロデュース2課の藤木裕也氏は「開発前にぶれないコンセプトを考えることが大切」と説明する。ゲームアプリの開発過程では何度も作り直しが発生する。細かいUI(ユーザーインターフェース)の改修もあれば、大規模なゲーム機能の変更もある。

 一般に修正を繰り返すと当初想定していた機能と実装する機能が徐々に離れてしまいがちだ。これでは完成してもユーザーに受け入れられる機能にならない。

 「スマホゲームで生き残れるのはリリースされたタイトルの10%以下とも言われる」(藤木氏)狭き門。ユーザーに受け入れられ、長く遊んでもらうゲームにするにはどうすればよいのか。ミニ四駆 超速グランプリの開発が始まる2017年秋、プロジェクトのメンバーは徹底的なコンセプトの作成に時間を費やした。社内公募などで集められたメンバーと開発協力会社のメンバーのほとんどがミニ四駆好き。実際にミニ四駆の大会などを見学して理解を深めたという。

 そして藤木氏らが作成したコンセプトが、友達とやっている感覚を味わえる「コミュニティー」、マシンセッティングの試行錯誤を楽しめる「正解の不透明さ」、自分だけのオリジナルマシンを作れる「改造の自由度」、昔味わった楽しさがよみがえる「懐かしさ」の4点である。これらを要件定義に盛り込み、開発工程で作り直しが発生しても要件がぶれない開発体制を確立した。

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