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 本日から当面は、出社せず自宅で仕事をするように――。新型コロナ対策のため日本企業でこんな社内通達が相次ぎ、一斉にテレワークが始まった。ただしにわか仕込みのテレワークだけに、悪気なく「禁じ手」を繰り出す上司が少なくない。実際の話をベースにした架空ストーリーを通じて、テレワークの禁じ手を解説する。

 「またオノ課長から返信が来なくなった……。何をやってるのかな。早く決めてくれないと仕事が進まないよ」

 都内の大手製造業のIT部門に所属する中堅システムエンジニア(SE)のタナカさんは、テキストチャットの画面を見つめながらこう言ってため息をついた。

 テレワークが始まって1週間が経過し、タナカさんは自宅での仕事のやり方に少しずつ慣れてきたところだった。そんな中で、上司のオノ課長とやり取りするテキストチャットが仕事の生産性を下げる要因になっていた。

(出所:PIXTA)
(出所:PIXTA)

 今週タナカさんはPoC(概念検証)の実行計画書を作成しており、随時テキストチャットでオノ課長に相談している。そのやり取りの途中でいきなり返信が途絶えることがあるのだ。テンポ良くやり取りしていたのにパタリと返信が来なくなる。長いときは30分以上放置される。いわば“音信不通”である。

 「オノ課長のパソコンが故障したのかな」「自宅で何かあったのか」

 最初はそんなふうに考えたが、決まって「お待たせしました」の一言だけあってテキストチャットが再開される。タナカさんは何があったのだろうと思いながらオノ課長に合わせてテキストチャットを続けた。

 しかし次第に実行計画書が煮詰まってくると、オノ課長に相談する頻度が高まった。レビューを受けたり他部署との調整の結果を聞いたりするたび、オノ課長の“音信不通”が起こる。そうかと思うと、自宅での昼ご飯についての雑談チャットは5分以上もずっとやり取りが続いた。

 「オノ課長は気まぐれでチャットをしているのか。だったら付き合っていられない」。実行計画書の締め切りが迫り、タナカさんの我慢は限界に近づいている。

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