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 NTTデータは2019年5月に発表した中期経営計画により、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する高度IT人材を2022年3月までにグローバルで5000人体制にする方針だ。しかし、専門性の高い人材を巡っては外資企業をはじめとする競合企業と激しい獲得競争が繰り広げられている。

 これに対して同社は、2018年12月に導入した専門性の高い外部人材を市場価値に応じた報酬で採用する「Advanced Professional(ADP)」制度による「採用」と、エンジニアの社内資格制度「プロフェッショナルCDP(Professional Career Development Program)」による「育成」の両面で必要とする人材の確保を進めている。

 同社の岡田和恵人事本部人事統括部制度企画担当部長は次のように語る。「3年ぐらい前から技術者の流動性が高まってきた。(社員を複数の等級に分類して賃金を支払う)日本企業固有の人事給与制度では、上の等級にならないと給料が上がらない。それでは先端領域のエンジニアを機動的に獲得できないため、ADP制度を導入した」。

 ADP制度では「AI(人工知能)」や「クラウド」「セキュリティー」などの先端領域において高度な専門知識や技術を習得しているエンジニアに対し、既存の人事制度にしばられず市場価値に見合った処遇ができる。報酬に上限は設けておらず、外資企業の処遇にも対抗できるという。ADP制度で採用した人材は、事業や専門分野でプロジェクトをけん引する役割を果たすが、部下の業績評価などの人材マネジメントは担当しない。

 2020年1月までに5人の高度IT人材がADP制度の対象となった。内訳は、OSS(オープンソースソフトウエア)分野が3人、セキュリティー分野が1人、UX(ユーザーエクスペリエンス)分野が1人である。ADP制度により、同社社員から転換した無期契約が3人、有期契約が2人だという。具体的には、もともと同社の社員でビッグデータ処理のOSS事業を同社で立ち上げたことで知られる技術開発本部の濱野賢一朗氏や、外部から招いた後述のセキュリティ技術部の新井悠氏などがADP制度の適用を受けた人材である。

 岡田部長は「ADP制度により欲しい人材は獲得できた。旬な技術をフォローするためにこれからも継続するつもりだ。ADP制度で採用した人材が増えていくなかで、どうやって社内でシナジーを生み出すかが今後の課題となる」と語る。