ソーシャルメディアポリシーを確認する
皆さんの勤務先はソーシャルメディアポリシーを策定しているだろうか。既にあればそれを基に新入社員と話をすればよいが、まだなければ以下のようなポイントに気をつけさせよう。
- 会社の機密情報を漏らさない
- 取引先に関する情報を漏らさない
- 肖像権や著作権に違反する内容を投稿しない
- 差別的、排他的な発言をしない
- 一次ソースがあやふやなフェイクニュースを拡散しない
- 政治や宗教に関する発言を不用意にしない
自社や取引先の機密事項を漏らさないのは当然として、SNSで炎上しやすい投稿も避けるよう指導する。「いいね」やリツイートが欲しいがために差別的な表現や過激な投稿をする人もいるが、当然慎むべき行為だ。
炎上を招く発言をしたのが高学歴、勤務先が有名企業、憧れの職業など、妬まれやすい経歴の持ち主だと、火に油を注ぐ結果となる場合がある。例えば、会社の特権で知りえた芸能人に関する話題は、炎上する可能性が高い。
新入社員には、プライベートなアカウントであっても会社の一員としてネットに発信していることになるのを自覚してほしいと伝えておこう。
画像や動画の投稿は情報流出の危険が高い
新入社員はSNSでプライベートな情報を発信し続けてきた世代である。今はSNSがテキストから画像、動画へと移行しつつあるため、スマホのカメラで1日何枚もの画像や動画を撮影するのも日常だ。
だが画像や動画はテキストよりも情報量が多い。何気ない日常の1コマに、個人情報や機密情報が入り込んでいる可能性がある。例えば、ランチを撮影した市役所の女性が、その画像に個人資産関連の書類が写っていたことに気づかず、SNSに個人情報を流出させてしまった事例がある。
先日、アイドル活動をしている女性を襲った男が逮捕された事件があった。この女性の自宅を割り出した手口は、女性がSNSに投稿した自撮り写真だった。瞳に映った景色を検証し、米グーグル(Google)の「ストリートビュー」などを使って最寄り駅を割り出したという。この女性はライブ配信も行っていたため、時刻と日差しの角度も自宅特定に利用したとされている。
写真や動画は隅から隅までチェックしたつもりでも、分かる人には分かる情報が入っている可能性がある。企業の敷地内で撮影した写真や動画の投稿は全面的に禁止しておくべきだろう。
SNSのアカウント乗っ取りに気をつけさせる
SNSのアカウントは「電話番号とパスワード」または「メールアドレスとパスワード」のいずれかというのが基本である。ただこれだけだと、認証の強度が十分とは言えない。どこにいても、これらの情報を入手できてしまう可能性があるからだ。そのため、SMSでスマホに届くワンタイムパスワードなどを併用する「2段階認証」を設定すべきだが、面倒だからと放置しているとアカウントを乗っ取られる危険性がある。
プロフィルで勤務先を明らかにしている場合、アカウントを乗っ取られると会社に不利な書き込みをされるかもしれない。「あそこの社員が言っていたから確実」などとフェイクニュースを拡散されてしまうと取り返しがつかない。FacebookやLinkedInなどビジネス用途が多いSNSを業務連絡に使用している場合は、取引先にスパムをばらまくといった迷惑をかけることも考えられる。
新入社員には、2段階認証の設定などでセキュリティー対策を強化するよう早めに伝えておきたい。
ITライター・スマホ安全アドバイザー