オフィス家具大手のオカムラは人材開発、人事制度、ICT、オフィス環境の4つの観点で働き方改革を並行して進めている。ICTについてはビジネスチャットを採用。仕事で使いこなすために「伝道師」が社内で広く活用するノウハウを発信するなど工夫を凝らす。
社員自らがどう生きてどうありたいのかを考えたうえで、自律的に計画して働き方改革を推進しよう――。働く環境を提案する企業として、こうした目標を掲げて「WiL-BE(ウィル・ビー)」という名の働き方改革を進めているのがオフィス家具大手のオカムラだ。
WiL-BEはオカムラが提唱するコンセプトである「ワークインライフ(Work in Life)」から命名した。ワークインライフという言葉には「人生は様々な要素からなっていて、その1つに仕事がある」という意味を込めている。
2018年6月、これまで社内で個々に進めてきた働き方改革の取り組み全体を「WiL-BE」と名付けたうえで、中村雅行社長をリーダーにして推進している。取り組みには業務改革を各職場がボトムアップで進めていく「働き方カエル!プロジェクト」、働き方改革を推進したり取り組み内容を発信したりできる人材を育成する教育研修「Bootcamp(ブートキャンプ)」など多岐にわたる。
2019年4月からはこれらの取り組みを人材開発、人事制度、ICT、オフィス環境の4つの観点に再編したうえで、責任部署をそれぞれ決めて、確実に成果を出すための体制を整えた。社内横断組織である「WiL-BE推進委員会」が全体を見ているが、人事部やICT担当の業務改革部といった部門がそれぞれの推進主体となって並行して進めている。
集中するための専用スペースなどを社内にしつらえる
一連の取り組みで働きやすいオフィスが生まれている。取り組む仕事に応じて働く場所が選べる「ABW(アクティビティー・ベースド・ワーキング)」の考えに基づいて、様々なオフィス家具を置いたり、専用スペースを多数、設けたりしている。社員はノートPCやスマートフォンを使って、取り組む仕事に合わせて場所を選んで働いている。
具体的にはメールのチェックや事務処理といった個人で進めるPC作業に向く「ベース」、個人作業やチームでの打ち合わせに専念できる「集中エリア」、複数人が集まって話ができるミーティングエリアなどを多数設けている。
このうちベースには、PC作業をしやすいように大型ディスプレーを複数据え付けたロングデスクを配置するなど工夫を凝らす。座り過ぎを防ぐために立ち姿勢でもPC作業を進められる上下昇降デスクも導入している。