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制御キーを多用したメインフレームの端末

 この端末はあくまでもカードデータの入力装置を模したものであったため、データの編集作業は端末に閉じたものとなっていた。ホスト・コンピュータに編集内容を反映する際は、画面単位でデータを転送していた。

1970年代のメインフレームとミニ・コンピュータの端末画面制御方式
1970年代のメインフレームとミニ・コンピュータの端末画面制御方式
メインフレームが画面(ページ)単位でデータをやり取りするのに対し、ミニ・コンピュータでは1文字ごとにデータをやり取りする。

 そのため改行を示すReturnキー以外に、コンピュータへのデータ転送を開始するための「Enterキー」がつけられている。端末内で作業が閉じているというアーキテクチャは、画面をスクロールさせる操作にも現れている。ページ送りにファンクション・キーを用いるのだ。端末内には編集中の1画面分のデータしか保持していないため、別のページを表示するにはホスト・コンピュータから別の画面のデータを転送する必要がある。今の尺度からすると制約の多い端末だが、端末側で一通りの編集機能を持っているためインテリジェント端末とも呼ばれていた*4

*4 インテリジェント端末に記録媒体(フロッピ・ディスク)を追加して、ホスト・コンピュータと接続することなくオフラインでのカード入力ができるようにしたものがデータエントリ端末であり,「IBM PC」のベースとなったと言われているものである。

 端末で入力したデータのバッチ処理を主体にしていた大型コンピュータのメインフレームに対し、計測機などのリアルタイム処理などに用いられ始めたのが小型のコンピュータ、いわゆるミニコンである。ミニコンで使用されていた端末はCRTの表示部分とキーボードから構成されていた。メインフレームと違い、キーボードからのデータは1文字ごとに端末からミニコンに送信され、CRTの表示も1文字ごとにミニコン本体によって制御されていた。端末自体が編集機能を持たず、入力と画面表示に特化した端末であった。ミニコンのアプリケーションは、ある処理を加えた後に端末に表示する文字コードを送信する(多くは単なるエコーバックの場合が多い)。表示装置は文字コードとともに表示位置の指示や画面消去など、画面表示を制御するコードも理解するように作られていた。有名なところでは米Digital Equipmentの「VT100」や米Lear Sieglerの「ADM3a」がある*5

米Digital Equipmentが1978年に出荷した端末「VT100」
米Digital Equipmentが1978年に出荷した端末「VT100」
PDPやVAXといった同社製コンピュータ以外にも、端末のデファクト・スタンダードとして広く使われていた。現在でも通信ソフトのほとんどがVT100のエミュレーション機能を搭載している。
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*5 UNIXの定番エディタ・ソフト「vi」はADM3aを使って開発された。ADM3aはカーソルキーを持たず、Ctrlキーとhjklの各キーの組み合わせに←↓↑→のカーソルキーを割り当てている。このためviの操作体系はhjklによるカーソル移動を前提にしていると言われている。