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 2019年12月に中国湖北省武漢市で発生した「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」。まず武漢市、そして湖北省や中国国内で猛威を振るい、日本を含む世界各国に広がった。2020年3月11日、世界保健機関(WHO)は感染症の世界的流行を意味する「パンデミック」を宣言。中国を中心に国家間の行き来が凍結され、米国をはじめ各国の株式市場でリーマン・ショックを超える下げ幅を記録するなど経済に大きな打撃を与えた。サプライチェーンが機能停止するなど製造業にも甚大な被害が出つつある。危機は進行中で状況は刻々と変化しているが、「新型コロナ危機」のこれまで2カ月と現状を取材と独自調査から報告する。

 新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)のまん延で休暇が延びた中国の春節(旧正月)。それが開けた2020年2月10日以降、日本企業が徐々に中国工場の再稼働に踏み切った。だが、生産再開や生産レベルの復帰スピードには企業間で差がある。3月半ば以降は新型コロナが全世界に広がり、欧米などの工場が稼働を停止する事態に見舞われている。危機への対応力を高めるべく、リスク情報を踏まえた工場管理が必要だ。

 日産自動車(以下、日産)の国内工場が2020年3月15日現在、生産ラインの一時停止を含む生産計画の調整に追われている。新型コロナショックの影響で日本工場の生産ラインを止めた自動車メーカーは日産だけだ*1

*1 トヨタ自動車では、2020年3月19日に新型コロナへ感染した従業員がいることが発覚。高岡工場第1ラインを同月23~25日の期間稼働を停止した。ただし、部品調達が原因ではない。
表1 危機対応力を高めた部品の調達先リスト(その1)
通常の調達先リスト(ブルーグレー色の帯)に、5つのリスク管理情報(オレンジ色の帯)を加えた。(作成:古谷賢一氏)
表1 危機対応力を高めた部品の調達先リスト(その1)
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 同社はその理由を詳細に明かさないが、中国製部品の採用率が他社に比べて多いためと見られる。「低コストを重視しすぎて、カントリーリスクの織り込み不足だったのではないか」と他の自動車メーカーの社員は推測する。

 実はコロナショックを受けて工場の部品調達に支障を来している企業は日産だけではない。2020年3月18日現在、新型コロナ感染の世界的な拡大から欧米のさまざまな製造業の工場が操業停止や生産調整に追い込まれている。「製造業では部品の調達先の管理は基本だが、リスクを含めた管理を実施しているところは極めて少ない」と、工場管理に詳しいジェムコ日本経営本部長コンサルタントの古谷賢一氏は言う。この状態から脱するために同氏が勧めるのは、リスク管理情報を含めた調達先リストの作成だ(表1)。