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先進企業はRPAの適用範囲をオフィス以外にも広げ始めた。製品の歩留まりの分析や保守部品の手配などへの活用を図る。ロボットやOCR、Excelと組み合わせる手法も目立ってきた。

 オフィスで働くホワイトカラーのパソコン作業を効率化できる――。2016年ごろから普及し始めたRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)のこんなイメージを、改める必要がありそうだ。当初は金融機関のオフィスを中心に導入企業が増えていったが、ここへきて製造業の活用例が目立ち始めた。それも各社のオフィスにとどまらず、事業の中核といえる工場やプラントが対象だ。

 生産現場の無駄を省き、より効率的な作業プロセスを追求する「カイゼン」活動。日本の製造業のお家芸とも言えるカイゼンに、RPAが一役買っているのだ。

設備保守や進捗管理を効率化

図 RPAを適用している製造業の現場と、自動化しているパソコン作業の例
図 RPAを適用している製造業の現場と、自動化しているパソコン作業の例
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 生産設備のメンテナンス関連業務にRPAを利用しているのが三菱ケミカルだ。設備の定期修理業務に関するパソコン作業を自動化した。工事指示書のデータを協力会社ごとに仕分けしたり、仕分けしたデータを設備管理システムに入力したりする作業だ。

 特に社内システムにデータを入力する作業は、修理で扱う部材が多岐にわたることもあり、入力項目が多く煩雑だった。従来はパソコン画面に表示した指示書のデータを工事担当者が見て、手作業で社内システムに入力していた。

 RPAで自動化したところ、「作業そのものが楽になったと工場担当者に喜んでもらえた」(三菱ケミカルの山﨑泰彦情報システム部事業所グループマネジャー)。細かい入力作業に伴う工場担当者の心理的な負担も軽減できたという。

 製造工程の進捗管理にRPAを役立てているのがJFEスチールだ。2018年4月からRPAの導入を進めてきた。「ここ最近は製鉄所内の工場の実績集計に関するパソコン作業に適用するケースが増えている」と和田徹也IT改革推進部業務改革グループリーダー主任部員(部長)は説明する。

 具体的には設備の操業データを基に、鉄鋼製品の歩留まりなど製造実績データを集計する月次作業に適用した。各工場の製造実績データを本社で取りまとめるパソコン作業も自動化した。同社はこれまで150種類ほどの社内業務にRPAを適用した。そのうち「半分近くが工場の業務」(和田主任部員)だという。