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先進企業はRPA導入後の大切さを熟知し、普及に向けた手綱を緩めない。さらなる成果を得るために、社内イベントなどで訴求を続ける。稼働したソフトロボをフル活用する策や不具合を防ぐルールの整備にも取り組む。

 先進企業はRPAの導入が進んだら普及活動に力を注ぐ。RPAの効用を社内でアピールし続けたり、いったん稼働させたRPAのソフトロボを有効活用したりする取り組みを続ける。

 RPAを全社に広げるうえでは、IT部門だけがいつまでも開発を担っていたり業務部門に手取り足取り指導したりしているわけにはいかない。現場の業務部門が自律的、自発的にソフトロボを開発・運用できる状態が望ましい。先進企業は現場の背中を押すために様々な工夫を盛り込んでいる。

図 RPAの発展を見据えて先進企業が実施するイベントの例
図 RPAの発展を見据えて先進企業が実施するイベントの例
写真提供:村田製作所(左)、ダイキン工業(中央2点)、損害保険ジャパン(右)
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事例発表会で知識を共有

 RPAの活用を社内でアピールする活動を続けているのが村田製作所だ。同社は2017年春ごろにRPAの導入を始めた。2019年に入ってから、本社や各拠点でRPA開発に携わる業務担当者に向けた事例発表会を開いている。「業務担当者に自ら開発したソフトロボを紹介してもらうことで、他の業務担当者が気付きを得たりこんな用途に適用できるのではないかと感じてもらったりするのが狙いだ」。情報技術企画部の久保誠二情報技術・品質保証課シニアマネージャーはこう語る。

 自動化したパソコン作業の概要から自動化で得た効果、ソフトロボの開発や運用の過程で直面した課題、その解決策まで、発表内容は多岐にわたる。来場者の前で実際にソフトロボを動かすデモの時間も用意している。

 必ずしも定量的な効果が大きい事例ばかりではない。作業時間は短いが毎日必ず人手で実施していた作業や、ミスをなくせなかったデータ入力作業を自動化した事例の発表も多いという。「決まった時間に処理しなければいけないパソコン作業は心理的な負担が大きかった。RPAで自動化できたので処理結果を確認するだけで済むようになり気持ちが楽になった」。発表者が効果を語ることで、来場者の興味や関心をひき付けている。

 こうした取り組みもあって、RPAの推進部門が業務担当者と一緒に業務上の課題を解決するといった動きが加速。年間3万4000時間のパソコン作業を自動化する成果につなげた。

展示会と研修で導入を拡大

 ダイキン工業もRPAのさらなる普及を図る。2017年6月からRPAの導入を始め、2019年夏までに年間1万時間分のパソコン作業を自動化した。より多くの成果を獲得するため、2019年11月に社内向けの展示会を開いて成果を全社にアピールした。RPAを紹介するブースを設置し、業務担当者がRPAツールを実際に操作してソフトロボ開発を体験してもらうハンズオンセミナーも実施した。

 合わせてチャットボットやグループウエアのクラウドサービスといったデジタル技術ごとにブースを設置。各ブースにIT部員が立ち、技術の詳細を業務担当者に説明した。「RPAだけでなく、様々なデジタル技術を活用する裾野を社内で広げていくことを狙った」とダイキン工業の廣瀬忠史IT推進部IT企画担当課長は話す。チャットボットやグループウエア、OCRなどの活用提案と合わせて、業務担当者にRPA活用の幅を広げる気付きを促す目的もある。

 同社は社内向けの展示会に続き2019年12月には業務担当者向けの教育研修を始めた。IT部門が手掛けていた開発作業の一部を、業務担当者がこなせるようにするためだ。

 まず6人の業務担当者を対象に3日間の研修を実施。研修を受けた業務担当者には、現場の業務を自動化する卒業試験に臨んでもらっている。2020年3月いっぱいでこの研修を5回実施し、30人の業務担当者が受講した。2020年4月以降も引き続き実施していくという。

 展示会で効果を広く周知してRPA活用の機運を醸成し、業務担当者に研修を施してソフトロボの開発や運用の担い手を現場に増やしていく。二段構えの施策でRPAの普及に弾みをつける考えだ。