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 テレビ、PC、冷蔵庫、自動車、今やあらゆるものが電源にプラグを差し込むだけで電気エネルギーの恩恵にあずかれる。コロナ禍によって急速にテレワーク化を実現できたのも、その背景に高速通信機器、Webカメラ、ヘッドセットなどの電子機器を手軽に入手、利用できる環境が整っていたからとも言える。

 私たちは電気エネルギーや電子制御の利便性によって快適な生活を送り、多くの先端産業を生み出し、またそれらによって支えられている。今回紹介するキンレイ(岩手県奥州市)は、今まさに私たちが享受している電気エネルギーや電子機器の情報伝達を、電線・ワイヤハーネスの製造技術で支えている企業だ。同社の特長や強み、こだわりについて同社代表取締役の鈴木猛史氏に話を伺った。

キンレイ代表取締役 鈴木猛史氏
キンレイ代表取締役 鈴木猛史氏
(出所:コアコンセプト・テクノロジー)
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 キンレイは「撚線機(よりせんき)」と呼ばれる電線製造機械のメーカーである。撚線機とは読んで字のごとく、線、主に金属線や電線を撚(よ)る機械。ケーブルやワイヤハーネスを造るものだ。

 そもそもなぜケーブルやワイヤハーネスを造るのに金属線を撚る必要があるのか。電源から離れたモジュールに大きな電力を伝えるためには電源ケーブルが必要となる。この電力を源に制御信号を生成し、通信ケーブルを通してモーターやセンサーに信号を送り込んではじめてモジュールが稼働する。私たちがよく目にするものの代表的な電源ケーブル・通信ケーブルは、電力と通信の送信を兼ねたスマートフォンの充電ケーブルだろう。

 自動車のモジュール間の電気的コミュニケーションはさらに複雑だ。安全性や利便性を向上するため、自動車には100を超すサブシステムが搭載されており、ワイヤハーネスはそのサブシステム間の電気的・電子的なコミュニケーションをつかさどる。

 そんなケーブル・ワイヤハーネスに求められる性能の1つは柔軟かつ切れにくいということだ。どこにモジュールを配置しても接続できるようにするには、ワイヤハーネスが柔軟でなければならないし、簡単に切れてしまっては困る。私たちが普段利用するスマートフォンの充電ケーブルも非常に軟らかく切れにくいだろう。当たり前のように利用しているこの特性が自動車の制御的安全性を支えている。

単線(上)と撚線(下)
単線(上)と撚線(下)
単線と違い、撚線は複数の電線を撚ってケーブル全体の柔軟性、耐久性を高めている。(出所:コアコンセプト・テクノロジー)
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 もう1つの要求は軽い、ということだ。素線の1本1本は非常に軽いが、金属であるから集まればやはり重くなる。自動車の燃費や運転性能の向上のために様々な部品において軽さと丈夫さが追求されており、ワイヤハーネスも例外ではない。