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 「コロナ禍もあり、この2年は急速な環境変化についていくのが精いっぱいだったが、いよいよ攻めの態勢が整ってきた」――。こう語るのは、80年以上の歴史を持つ超硬合金メーカー、国産合金(東京・中央)の取締役社長の山下祐氏だ。

国産合金の山下祐氏(写真中央)
国産合金の山下祐氏(写真中央)
(出所:国産合金)
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 かつてはスパイクタイヤのスパイクピン製造で国内ナンバーワンを誇っていた同社。独自の超硬合金「ハードロイ」を武器としており、顧客からはハードロイで指名買いされるほど超硬合金業界では信頼のブランドだ。他社の超硬合金に比べて特に耐久性で高い評価を得てきたという。

 その強さの源泉は、職人による丁寧なものづくりにある。従業員数20人ほどと小規模ながら、寸法精度は高くロット差も小さいため、品質に対する顧客の信頼は厚い。顧客の後加工を減らせるニアネットシェイプでの納品も強みだ。小ロットかつ小回りの利く組織体制で、多品種生産をこなし、急な注文にも対応。粉末の混合から最終仕上げまで社内での一貫生産によって、小物なら最短で4日という短納期を実現している。

素材焼結から製品まで社内でこなす
素材焼結から製品まで社内でこなす
(出所:国産合金)
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