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CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の波は、インドにも容赦なく押し寄せる。ただ、車両の技術革新にインドの交通事情が追い付いていない面もある。急速に変化するインドの乗用車市場で勝ち続けるためには、どのような戦略が必要なのか、マルチ・スズキ(Maruti Suzuki India)社長兼最高経営責任者(CEO)の鮎川堅一氏に聞いた。

インドの電動車戦略には「現実的な選択肢」が必要とのことだが、具体的にはハイブリッド車(HEV)を主軸にするのか。

図1 マルチ・スズキ社長兼最高経営責任者(CEO)の鮎川堅一氏
図1 マルチ・スズキ社長兼最高経営責任者(CEO)の鮎川堅一氏
時流の変化に乗り遅れれば、衰退は避けられないと危機感を募らせる。(撮影:日経Automotive)
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 そうだ。すでにマイルドHEVはインド市場に導入している。今後、スズキと提携関係にあるトヨタ自動車の力を借りて、ストロングHEVも準備する(図1)。

 電動車ではないが、環境対応の点でCNG(圧縮天然ガス)車にも力を入れている注)。直近の対応としては、コスト面も含めてCNG車が外せない(図2)。

注)マルチ・スズキは環境負荷の小さいCNG車を2010年から手掛けており、これまでに約62万台を販売した。2015年から販売を始めたマイルドHEVを加えると、これまでに約100万台の販売実績があるという。約10年で成し遂げた100万台のグリーンカー販売を、今後数年の短期間で再び達成したい考えだ。
図2 環境対応車で100万台目指す
図2 環境対応車で100万台目指す
マルチ・スズキは今後数年以内にインド市場で累計100万台の環境対応車(グリーンカー)を販売する。その技術候補として、CNG車、マイルドHEV、ストロングHEV、EVの4つを挙げる。(撮影:日経Automotive)
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 同時に、電気自動車(EV)の技術進化や環境整備も必要だ。EVの電力を石炭火力で発電していたのでは、二酸化炭素(CO2)排出量の総量は減らない。インド政府は太陽光発電など、さまざまな対策を進めているが、やるべきことは多い。それらを積み重ね、5年単位で環境が整っていくと見ている。

トヨタが強みとするストロングHEVはインドで受け入れられるのか。

 インドでどのようにストロングHEVを普及させていくかをトヨタと協議している。優れた燃費改善率を顧客に理解してもらうことが重要だ。また、現状ではHEVへの優遇策がない。今後インド政府への働きかけを強化していく必要がある。