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米テスラ(Tesla)が繰り出した電気自動車(EV)「モデル3」には「ボディー・コントローラー(BC)」と呼ぶ基板群がある。車両に散らばるECU(電子制御ユニット)を集中させた部品だ。この採用の結果、ワイヤーハーネスが激減し、ヒューズが消えた。BCとはどのような部品なのか。技術者らとともに迫った。

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 ここからは詳細にボディー・コントローラー(BC)を観察していく。電装品制御と電源供給を司るBCは3つの基板から成る(図1)。テスラは各々をフロント・ボディー・コントローラー(FBC)、ライト・ボディー・コントローラー(RBC)、レフト・ボディー・コントローラー(LBC)と呼ぶ。搭載場所はFBCがダッシュボードの前方、RBCとLBCがダッシュボードとフロントドアの間にあった(図2)。BCを3つに分割したのは、車両内のワイヤーハーネスの取り回しを良くするためとみられる。実際、FBCからは主に車両前方にある機器、LBCとRBCからはそれぞれ左右にある機器に向かってワイヤーハーネスが伸びている。例えば、FBCはカーナビゲーションシステムなどの機能を担うMCU(Multimedia Control Unit)やヘッドランプ、LBCは右ドアや右シート、RBCは左ドアや左シートなどと接続されている。

図1 3つの基板で構成されるボディー・コントローラー
図1 3つの基板で構成されるボディー・コントローラー
フロント、レフト、ライトで構成される。システム的には、この3つが1つのボディー・コントローラーのように動作するとみられる。(写真:日経クロステック)
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(a)フロント・ボディー・コントローラー
(a)フロント・ボディー・コントローラー
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(b)レフトおよびライトのボディー・コントローラー
(b)レフトおよびライトのボディー・コントローラー
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図2 ボディー・コントローラーの搭載位置
フロント、レフト、ライトのボディー・コントローラーの場所は、フロントがダッシュボードの前方、ライトとレフトがダッシュボードとフロントドアの間にある。ハーネスの取り回しをよくするための配置とみられる。(写真:日経クロステック)

 電源供給は、FBCが電池パック(降圧DC-DCコンバーター経由)と鉛蓄電池から一括して受けている。それをRBCとLBCに分配する。

 マイコンはFBCに1個、LBCに1個、RBCに2個搭載されている。FBC、LBC、RBCに共通して搭載されるマイコンは、伊仏合弁STMicroelectronicsの車載向け32ビットマイコン「SPC56ECシリーズ」である。CANやLIN、Ethernetに加え、シリアルインターフェースなどを多数備える。RBCにもう1つ載るのが、ルネサス エレクトロニクスの車載用32ビットデュアルコアマイコン「RH850/F1H」シリーズである。こちらも、CANやLIN、Ethernet、シリアルインターフェースなどを備える。これら4つが通信インターフェースを介して連携して、その先につながる機器を制御しているとみられる。各マイコンが、各基板に接続される機器を制御していると思われるが、詳細な役割分担は不明である。