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日本電信電話(NTT)と古野電気(フルノ)は、ビル街や山間部などの衛星信号の受信が厳しい環境においても、GPS(全地球測位システム)などの測位衛星を使うGNSS(全球測位衛星システム)による時刻同期精度を飛躍的に向上させる「GNSSレシーバー(受信機)」を開発した。これまで高精度の時刻同期が難しいとされていたビル街や山間部などの受信環境でも、時刻誤差を従来の1/5程度にまで低減したことを確認した。これは世界最高水準の時刻同期精度で、5Gのモバイル基地局を始め多くの分野で応用展開が期待されている。

(写真:Graphs/PIXTA)
(写真:Graphs/PIXTA)
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 「時刻同期」とは言葉の通り、2つ以上の装置またはシステムの時刻を一致させることだ。特に本稿では、世界各国の標準時の基礎となる協定世界時(UTC:Coordinated Universal Time)に自らの装置の時刻を同期させることを意味する。

 時刻同期にはさまざまな手段がある。電波時計は電波を受信して時刻を校正しているし、パソコンはインターネット経由で正しい時刻情報を取得・配信しているNTP(Network Time Protocol)サーバーから時刻情報を得ている。しかし、これらの手段では、用途によっては精度の要件を満たせない。そこで、高精度な時刻情報が必要な場合は主にGNSSが使われている。

 GNSS衛星には、米国のGPSのほかに、日本の準天頂衛星(QZSS:みちびき)、ロシアのGLONASS、欧州のGalileo、中国のBeiDou(北斗)、インドのNavICがある。これらの衛星は、高精度な原子時計(セシウム、またはルビジウム原子時計)を搭載している。JAXA(宇宙航空研究開発機構)によれば、これらの原子時計の時計誤差は30万年にわずか1秒以下という。GNSS衛星はこれを利用しながら、正確なタイミングで、正確な時刻情報を送信している。