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半導体製品の製造工程を活用し、シリコンウエハーなどに微小な可動部品を構築するのがMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)である。このMEMSは、ウエハー内に微細部品が動作するための極小空間を設ける点でICのような半導体製品と異なる。この構造の違いによって、MEMSのパッケージングの工程においては、この空間にどのようにフタをするかが重要になる。本連載では、MEMS技術の第一人者である、東北大学大学院工学研究科ロボティクス専攻/マイクロシステム融合研究開発センター教授の田中秀治氏がMEMSのウエハーレベルパッケージング(WLP)の基礎について解説する。(日経クロステック)

 可動部分を有するMEMSには、内部に空洞を有するパッケージが必要である。それをダイシング前にウエハー状態で形成する技術がウエハーレベルパッケージング(WLP)である。典型的なWLPは、図1に示すように、MEMS構造をウエハー上に形成後、キャップウエハーをかぶせるというものである。

 WLPの利点は何であろうか。まず、WLPされたMEMSダイは、ダイシング後、標準的な樹脂モールディングによって2次パッケージングできる。WLPがなければ、たとえば、MEMSダイを1つずつセラミックパッケージに封止することになるが、これでは高コスト化は避けられない。また、WLPの構造を工夫することによって、ダイ面積を小さくできる、つまりダイ単価を下げることができる。さらに、WLPによって歩留まりを高められる点も重要である。ダイシングは一般的に回転ブレードを用いて切削水をかけながら行われるため、MEMSの破損、汚損、あるいはスティッキング(乾燥時の貼り付き)につながりやすいが、WLPによってこれらを防ぐことができる。

図1 ウエハーレベルパッケージング(WLP)
図1 ウエハーレベルパッケージング(WLP)