全5318文字
PR

ディスプレー分野で世界最大の国際学会「Display Week 2020(SID 2020)」が、2020年8月3~7日にオンライン上で開催された。熱気はコロナ禍でも衰えず、注目度の高いマイクロLEDなど次世代ディスプレー技術の新提案が多数報告された。ARグラスの小型化や、インクジェット印刷で製造する有機ELディスプレーなど、実用化間近の技術の発表も目立った。

 ディスプレー分野で世界最大の国際学会「Display Week(SID)」。本来は2020年6月に米国サンノゼでの開催が予定されていたが、新型コロナウイルスの影響で延期となり、同年8月3~7日にオンライン上での実施となった(図1)。

(a)SID 2020の会場
(a)SID 2020の会場
[画像のクリックで拡大表示]
(b)その場に滞在中の参加者一覧
(b)その場に滞在中の参加者一覧
[画像のクリックで拡大表示]
図1 オンライン開催となったSID 2020
参加者にWebブラウザー上で発表資料などを閲覧させる形で実施されたオンライン版SID 2020の様子(a)。ロビーや企業ブース(Exhibit Hall)など複数のエリアがあり、クリック1つでそこに移動できる。同じ展示や講演内容を閲覧している他の参加者の名前や肩書を一覧でき、チャットも送れる(b)。(写真:SID 2020のイベントWebページを日経クロステックがキャプチャー)

 オンライン版SID 2020では、発表資料や講演映像がWebに公開され、オンデマンドで視聴ができる。開催期間後も同年12月まで閲覧可能で、参加者にとってはリアル開催よりも発表内容を得やすいともいえる。一方で、実物展示がないため、動作などを直接確認できない欠点もあった。

 こうした制約にもかかわらず、SID 2020は、マイクロLEDをはじめとした次世代ディスプレー技術の講演が目白押しで、百花繚乱の状況を呈した。例えば、マイクロLED、ミニLED、QD-OLED、QLED、QNEDなどだ。もっとも、これらの多くは技術的な成熟度がまだ低く、発展途上の段階だ。「例えるなら液晶ディスプレーの開発初期(1970~80年代)の様子に近い」(テック・アンド・ビズの北原洋明氏)。

マイクロLED=直径が50µm以下のLEDチップを発光部として用いたディスプレー。
ミニLED=直径が50µ~200µmのLEDチップを発光部として用いたディスプレー。
QD-OLED=青色発光の有機EL素子をバックライトとして用い、量子ドット(QD)付きカラーフィルターと組み合わせて赤色発光や緑色発光を実現するディスプレー。Samsung Displayが2021年第3四半期に量産する計画だ。
QLED=QDを電流注入で自発光させる発光素子、またはそれを用いたディスプレー。
QNED(Quantum Nano Emitting Diode)=ナノロッド型の青色LEDをバックライトとして用い、QDとカラーフィルターで赤色や緑色を実現するディスプレー。