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 新型コロナウイルスの感染拡大で予想だにしない業績悪化に見舞われる業種が多い中、前年比で市場が大きく成長している製品種がある。ペルチェ素子で首元を冷やす装置や電動ファンで体を冷やしたりするウエアなどの暑熱対策機器である。中でも大きな注目を集めたのが、空調メーカーの富士通ゼネラルが開発した「Cómodo gear」。本業の知見を生かし、“冷やす”ことにこだわった製品だ。その開発を主導したのは、プロジェクトの開始当時、入社2年目の“駆け出し社員”だった。

 「問い合わせが殺到してホームページに『時間がかかっています』というメッセージを初めて出しました。うちの会社がこんなに騒がれているのは、(4年前に)俳優の山崎賢人さんをイメージキャラクターに採用したとき以来です」(広報担当者)。

 富士通ゼネラルが2020年5月27日に発表し、6月から炎天下や空調がない環境で働く建設や製造、警備などの業界向けに提供を開始した「Cómodo gear(コモドギア)」の反響の大きさに、同社は驚きを隠さない。何しろ、7月1日までには今夏向けに生産する約1000台の予約が満了してしまったからだ(図1)。

図1 “身に着けるエアコン”「Cómodo gear」
図1 “身に着けるエアコン”「Cómodo gear」
富士通ゼネラルが2020年5月27日に発表。7月1日までに今夏生産分の約1000台の予約が満了したという。(写真:加藤 康)
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 同社には問い合わせや追加注文がいまだに多く入るという。家庭用エアコンの国内シェアで上位3位圏外と、あまり目立たない存在だった富士通ゼネラルにとって痛快な一撃と言えるだろう。

 この開発を発案し、主導したのはプロジェクトの開始当時、入社2年目の“駆け出し社員"だった。経験値が低い若手社員が、いかに製品化まで漕ぎつけたのか─。