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新しいモビリティーとしてeVTOL(電動垂直離着陸機)、いわゆる空飛ぶクルマの開発競争がグローバルで激しさを増している。そんな中、日本でマルチコプターベースのeVTOL機を開発しているのが、ベンチャー企業のSkyDriveだ。同社代表取締役CEOの福澤知浩氏に同社の事業状況について聞いた。(聞き手=東 将大、中道 理)

福澤 知浩(ふくざわ・ともひろ)
福澤 知浩(ふくざわ・ともひろ)
東京大学工学部を卒業後、2010年にトヨタ自動車に入社し、グローバル調達に従事。同時に多くの現場でのトヨタ生産方式を用いた改善活動により原価改善賞を受賞。 2018年にSkyDriveを設立し、「空飛ぶクルマ」と「カーゴドローン」の開発を推進。経済産業省と国土交通省が実施する「空の移動革命に向けた官民協議会」の構成員として、空飛ぶクルマの実用化に向けて政府と新ルール作りにも取り組む。(写真:加藤 康)
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 2023年度の有人飛行サービスの提供に向けて、空飛ぶクルマの機体の開発を進めています。最初に提供するのは、大阪近郊での遊覧飛行サービスです。当初は、離発着拠点は3箇所程度を考えています。飛行ルートは例えば、2025年の大阪万博会場の付近を数キロ程度飛行することを考えています。料金は既存のヘリコプターサービス料金の半額程度を想定しています。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)や海遊館、万博、統合型リゾート(IR)などを訪問した際に、せっかくだから乗ってみようという需要を狙っていきたいと思います。将来、顧客のニーズにこたえて飛行回数が増えれば機体数も増えていくと思いますので、サービス利用料金が下がっていきます。そうなれば、普通の交通に近づいていくでしょう。

 こうしたサービスの実現に向け、2020年8月、当初掲げた目標通り報道関係者を前にデモフライトを実施しました。今は、主に2つのことに取り組んでいます。1つは自動運転ができるようにする技術開発です。もう1つは認証獲得です。飛行機やヘリコプターは国土交通省からの認可を受ける必要があります。具体的には、安全性が一定以上であることを書面で示し、書面通りに設計・製造をし、アフターサービス込みで安全性を守っていることを示さねばなりません。飛行サービスを開始する2023年度中には、認可を受けるべく取り組んでいます。

 ただ現在の審査基準には、我々が開発している空飛ぶクルマに合致しない部分があります。具体的には、現在の審査項目は燃料を燃焼させてエネルギーを得るエンジンの動力が前提となっていますが、我々の機体は電動バッテリーで動作します。また、マルチコプターのような多数のプロペラで宙に浮く機体は想定されていません。そのような部分を現在、国土交通省などと一緒に議論しています。

 2023年度に商用で使う機体は、2人乗りを考えています。このうち1人は操縦士で、乗客は1人という形になります。操縦士といっても常時運転をしている必要はありません。飛行ルートは、ウェイポイント(経路上の地点情報)と呼ぶポイントを幾つか設定してそこを直線で飛ぶというものです。ただ、万が一、安定性を失ったり、GPSで自己位置をシステムが見失ったりしたときなどに人の操縦が必要になるので、安全性担保のために操縦士が搭乗します。

 この次のステップでは遠隔操縦に挑みます。飛行中に人の操縦が必要な状況が発生した場合に、遠隔から人が操縦し安全な飛行を担保します。この技術によって乗客を2人にすることが可能です。最終的にはこうした遠隔操縦も機械に代替したいと考えています。