全4924文字
PR

2020年7月に一般販売が開始された米Microsoftの「HoloLens 2」。価格が約42万円(税込み)と高価だ。しかし、競合製品に比べて広い視野角や豊富なクラウド連携アプリケーションによって、法人向けを中心に採用が広がっている。今回はそのHoloLens 2を分解し、熱設計や光学系の内部を分析した。

 米Microsoftが2019年11月に発売したMR(Mixed Reality)用ヘッドマウントディスプレー(HMD)「HoloLens 2」。2016年3月に発売した初代「HoloLens」(以下、初代)に比べて、視野の広さを2倍とし、処理性能や着け心地などを向上させたことで、法人での利用が大きく広がっている。

 HoloLens 2はこれまで法人向けに販売されてきたが、2020年7月に同社の公式オンラインストアで一般販売が開始された。価格は42万2180円(税込み)。今回、フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ ディレクターの柏尾南壮氏が購入した製品を、共同で分解・調査した(図1)。

(a)前頭部側(映像表示/センシング)
(a)前頭部側(映像表示/センシング)
[画像のクリックで拡大表示]
(b)後頭部側(プロセッシング/電池)
(b)後頭部側(プロセッシング/電池)
[画像のクリックで拡大表示]
(c)左側面
(c)左側面
[画像のクリックで拡大表示]
(d)右側面
(d)右側面
[画像のクリックで拡大表示]
図1 HoloLens 2の外観
前後左右から見たHoloLens 2の外観。従来製品の初代HoloLensは、映像表示部やメイン基板などの主要部品が前頭部側に集中していたが、HoloLens 2では前後で機能を分散させた。(写真:スタジオキャスパー)

予約から1年半でやっと購入

 分解以外の評価をするため、編集部では2019年2月の製品発表時に法人窓口で即時予約した。同年11月には出荷開始がアナウンスされたものの、音沙汰は無し。いくら待てども、入手できる気配はなかった。

 日本マイクロソフトの広報によれば、生産が追いついておらず供給台数が足りていない状態が続いたため、大手顧客などから優先的に出荷されていたという。

 その後も購入案内が届くのを待ち続けたが、2020年7月の一般発売が開始された後になっても案内は届かなかった。最終的に公式ストアから買い直すという形で、予約から1年半がたってようやく手に入れられた。

レーザーで輝度向上

 HoloLens 2は、競合製品となる米Magic Leapの「Magic Leap 1」と比べても同等かそれ以上の性能を備える(表1)。仕様上で大きく異なるのは、映像表示の光源だ。

表1 HoloLens 2とMagic Leap 1、初代HoloLensの主な仕様
表1 HoloLens 2とMagic Leap 1、初代HoloLensの主な仕様
[画像のクリックで拡大表示]

 HoloLens 2では、レーザー光源+MEMSミラーの組み合わせを用いて映像を表現する。Magic Leap 1や初代が採用するLED光源+LCOS(Liquid Crystal On Silicon)パネルの組み合わせよりも輝度を高くできる。表示映像を計測してみると、HoloLens 2はMagic Leap 1の10倍以上の輝度を示した。

 一方で、この方式は表示映像に色ムラが発生しやすいという欠点がある。実際に、編集部で購入した実機は、これまで展示会や発表会で体験した展示機よりも映像の色がにじんだりモヤッと見えたりする場合があった。展示会などでは、厳選した機器を使用している可能性がある。