スカパーJSATホールディングスは2021年5月、日本電信電話(NTT)と新たな宇宙事業を創出することを目指して業務提携契約を締結した。「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク」で、イノベーションを起こすという壮大な計画だ。これまで30年以上にわたって30機以上の通信衛星を打ち上げて衛星通信や衛星放送を提供してきた同社がなぜ今、新たな宇宙事業に乗り出すのか。代表取締役社長の米倉英一氏に聞いた。(聞き手は内田 泰、中道 理)
御社はNTTとの業務提携によって、「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク」という宇宙インフラの構築を目指していきます。なぜ今、新しい宇宙事業の創出に乗り出すのでしょうか。
この約10年間の様々な環境変化で当社の事業が厳しい局面に入っており、新たな方向性を打ち出す必要があるからです。もう過去の事業モデルの延長では生き残れないという強い危機感を抱いています。
スカパーJSATは、スカパー!とJSATという2つのビジネスから成り立っています。スカパー!の方は、メディア事業であり有料多チャンネル放送「スカパー!」を中心としたサービスを、JSATは宇宙事業として通信衛星の運用や衛星通信サービスを提供しています。JSATの前身は、1989年に日本で初めて通信衛星を打ち上げた民間企業です。