人間そっくりのアンドロイドからぬいぐるみのような癒し系ロボットまでさまざまなアバターを研究してきた石黒氏は今、2050年を見据えた「ムーンショット型」の研究プロジェクトマネージャー、そしてアバターの社会実装を目指すベンチャー企業「AVITA」代表という新たなわらじを履いた。今なぜアバターなのか、そしてそこで実現したいことを聞いた。(聞き手=野澤 哲生)
先生は以前からロボットと人間の境界を探る研究をされてきたと理解していますが、ここにきてアバターの社会実装を進めようというのはなぜでしょうか?
私は1999年から遠隔操作のアバターと自律型ロボットの両方を研究してきました。この2つを常に交互にやっています。まずアバターを作って、それを自律的にして、また遠隔操作に戻る。自律の機能を加えると遠隔操作がより簡単になる。するともっと複雑な対話ができるようになるとそれをまた自律化する。それを繰り返してきました。