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 私が属す未来調達研究所では、サプライチェーン・調達・物流関係者を対象とした新型コロナウイルスの影響に関するアンケートを何度も実施している。会員企業の1万3000人ほどのサプライチェーン関係者からリアルタイムの状況を収集している。

 このアンケートを通じて、この2週間でがらりと景色が変わった感覚がある。というのも、それ以前は「中国からの調達品・輸入品が入らない」という話題が大半だった。それは私も繰り返し書いてきた。

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 しかし、本稿を執筆している2020年3月31日時点では、そこから大きく2つの変化が見られる。その変化とは、(1)中国以外の課題が拡大、(2)生産停止による影響が拡大、の2つだ。

(1)中国以外の課題が拡大

 2週間前までは、「中国から物が入ってこない」という問題がサプライチェーン関係者の話題の中心だった。しかし、現在では中国はむしろ回復途上にあり、調達の問題は薄らいできたとの声が多くなってきた。もちろん、完全に元通りになったわけではないし、物流の問題も払拭されていない。中国内でも地域によって差はある。それでもメディア報道の雰囲気と同等のレベルには中国が復活していることは、現場の意見からも感じられた。

 この2週間で深刻化したのは、中国以外の地域からの調達断絶である。イタリアなどEU(欧州連合)諸国、東南アジア、米国などから調達できなくなったとの声が圧倒的に多い。以下に列挙する

<調達関連>

  • EU、東南アジア、米国からは物が全く入ってこなくなった
  • EUは海上物流が絶望的
  • インド、EU、米国で運送業が止まっている
  • フィリピンの従業員が集まらない、連絡も付かない
  • EUに送ったものは、届かないし、追跡もできなくなっている
  • 海外から生産日付が1年以上前の物が納品されてくる

<コミュニケーション関連>

  • EU、米国の現地法人がシャットダウン、連絡が付かない
  • マレーシア、フィリピンからは物が入ってこない、連絡も付かない
  • 米国のプロジェクトは全て停止
  • ロックダウンになった国は、連絡してもなしのつぶてで、「連絡してくれるな」という印象

 グローバルサプライチェーンでは、世界分業が進んでいた。組み立ては中国やベトナム、フィリピン、部品は韓国、台湾、日本、米国、EUと、見事なまでにすみ分けが進んでいる。ある国の危機は、その国だけではなく関係する全ての国の危機となり得る。中国が沈静化したところで、他の国が混乱したままでは、サプライチェーンの危機は止まらない。