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 2020年4月7日、安倍晋三首相は緊急事態宣言を発令した。東京や大阪など7都府県が対象だ。緊急事態といっても私の周囲や街中の様子から驚きは見られない。むしろ、「ああ、ついに宣言されたか」という諦観が感じられる。

 とはいえ、日本の製造業に大きな影響が出ることは避けられない。そして、本当の危機が来るのは5月だ。まず小売りなど市民生活と密接に関わっている分野から影響が表れ、いずれ製造業にも及ぶだろう。緊急事態宣言による製造業への影響について、海外の都市封鎖(ロックダウン)の状況も参考に予測してみたい。

(出所:PIXTA)
(出所:PIXTA)

 安倍首相は緊急事態宣言を発令したものの、諸外国の強制力を伴う都市封鎖とは異なり、あくまで“自粛”であることを強調していた。公共交通機関を止めるわけではなく、在宅勤務などを実施した上で企業活動を継続してほしいとも述べていた。

 このような呼び掛けが功を奏したか、スーパーマーケットなどの小売店では意外なほど混乱が少なかった。食品や日用品は引き続き安定的に供給されている。

 物流業者も、物の流れを止めないように努力している。このところ、物流ドライバーや倉庫勤務者の新型コロナウイルス感染が相次いでいる。本社勤務の社員は在宅勤務に切り替えつつあるが、それができない現場の人たちは消毒などを徹底した上で業務に当たっている。エールを送りたい。

都市封鎖の影響はどうなるか

 ひとまず大きな混乱には至らなかったものの、緊急事態宣言の期間は5月6日までと、約1カ月もある。今後はどうなるだろうか。

 米国や欧州連合(EU)などでは既に都市封鎖が実施されている。緊急事態宣言の対象となった日本の7都府県は封鎖されるわけではないので、単純に比較できないが、その影響をまとめてみた。

 海外の封鎖された都市では、食料品や医薬品を扱う店舗だけが開店し、それ以外の不要不急品を扱う店舗は休業している。加えて、次のような工夫が見られる。

<実店舗>

  • 来店時間予約:予約制によって来店人数を制限し、客同士の距離を一定以上に保つことで、感染拡大を防ぐ。具体的には、混雑時の1/5程度に抑えている。
    店員による監視:客同士が適正な距離を保っているか店員が監視し、保てていない場合は注意する。カメラの映像を自動で分析し、距離が近いと警告するアプリケーションも開発されている。
  • 高齢者専用の時間帯:開店から60~90分程度を高齢者に割り当てる。対象は、60歳以上としていることが多い。重症化しやすい高齢者への感染を防ぐために、若年層と隔離するというものだ。高齢者だけではなく妊婦や障害者を含めている事例もある。
  • ドライブスルーの拡充:路面店などで食料品などを自動車から降りずに購入できるようにする取り組み。
  • アクリル板の設置:レジに店員と客を隔てるアクリル板を設置し、くしゃみやせきなどによる飛沫感染を防ぐ。
  • 非接触型決済:QRコード決済を導入し、支払時の物理的な接触を不要にする。

<ネット通販>

  • 置き配の徹底:配送員から配送先、あるいは配送先から配送員への感染を防ぐ。
  • 配送物の優先順位付け:優先するのは、ベビー用品や家庭用品、食料品、ペット用品など。それ以外の不要不急品は優先順位を下げる。
  • 便乗値上げ防止:日用品について異常な値上げをした業者を排除・警告する。
  • キャッチコピーの適正化:誇大広告を抑制する。例えば、マスクに対する「感染を完全に防ぐ」というような広告(無自覚症状者による他人への感染防止には効果があるが、感染予防には役立たない)や、健康食品の「新型コロナウイルスの免疫力アップ」というような広告は認めない。