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 2021年になった。私はサプライチェーンの世界に身を置いているので、関連ニュースを世界のメディアで確認している。年末年始は、新型コロナウイルス感染症ワクチンをいかにして保存・配送するかという話題が目立っていた。

 それ以外のニュースは日本とさほど変わらない。新型コロナ禍で物流の人員が足りない。どこも綱渡りでやっている。特にロックダウン(都市封鎖)のような厳しい規制をかけている国は厳しい状況が続いている。

 そのため、物流業者は様々な工夫を重ねている。そんな中、日本では共同配送に関する取り組みが報じられた。日本経済新聞電子版21年1月5日付の記事によれば、キヤノンやリコーなど事務機器を手掛ける約15社が共同配送を目指すという。実現すれば、トラックの台数が1/3になる可能性があり、物流コストを大幅に削減できる。

(出所:kou/PIXTA)
(出所:kou/PIXTA)

 共同配送の事例は他にもある。よく知られているのは、コンビニエンスストア大手3社(セブン-イレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマート)の取り組みだ。各社は商品を自社倉庫から共同センターに持ち込み、共同トラックで各店舗に配送する実証実験を始めた。

 物流網は一種のインフラであり、そのインフラを有効活用しようという共同配送の試みは理解できる。これまで日本でもたびたび話題になってきた。だが、なかなか定着しない印象がある。

 共同配送が定着しない理由は何か。個別の取り組みに対してではなく、あくまで一般論として説明する。

理由1:配送主体が売り手
 BtoB(企業向け)で考えてほしいのだが、一般に商品を買い手の倉庫に運ぶ主体は売り手だ。売り手は物流費を含めた金額を請求しているから、当たり前ではある。売り手が運ぶ以上、特に仕組みがなければどこも競合と連絡を取り合って一緒に運ぼうとはしない。

 これに対し、買い手が配送主体となる方式として「ミルクラン」が挙げられる。買い手がトラック便などを手配して売り手に商品を取りに行くというものだ。