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 バイデン米政権は、選挙公約の「脱・中国依存」を進めている。バイデン大統領は2021年2月24日、重要部材について中国に依存しないサプライチェーンを構築する意向を示し、サプライチェーンの問題点と対応策を検討するよう求める大統領令に署名した。対象は、「半導体」「大容量電池」「医薬品」「重要鉱物(レアアースなど)」の4品目。100日以内に具体策を打ち出すという。

 これに先だってブリンケン国務長官も米国に対抗する国家として中国を挙げ、危機感をあらわにしていた。政権交代に伴い、一部に「バイデン政権は中国寄りの政策を打ち出すのではないか」との懸念もあったが、対中国については強硬な態度を継続した。米国第一主義の修正や世界保健機関(WHO)への復帰などトランプ前政権からの変更点もあったが、対中国の路線は変わらないようだ。

(出所:paitoon.pati/PIXTA)
(出所:paitoon.pati/PIXTA)

 米中は、GDP(国内総生産)で世界の約40%を占めている。10年前であれば、サプライチェーンの領域において地政学や国際政治を意識する機会は少なかった。しかし、現在はあらためて重要課題となっている。

 特に米国にとって脱中国は、企業や産業の枠を超えて国家安全保障リスクの軽減に直結する。日本でも、新型コロナウイルス禍の初期段階において中国製マスクの不足が話題になった。現在は、日本も米国も半導体の不足が続いている。実際、日米の自動車メーカーが車載半導体不足で生産停止に追い込まれた。

 米国の半導体メーカーは、設計を自社で担い、製造を国外の企業や拠点に委託している。このことに米政権は危機感を抱いてきた。だからこそ、半導体製造の強化に370億米ドルもの巨額の投資を決定した。米国の半導体を製造するのは、主に韓国や台湾の企業である。中国に対抗するための支援という位置付けだ。

 米国からすれば、価値観の異なる中国からの調達に依存してはいけないし、依存すべきではないとも考えている。さらに、バイデン政権は、脱中国の立案にとどまらず、防衛や通信技術、エネルギーなどの分野でサプライチェーンを広く見直すことも求めている。

 しかし、私見を述べれば、米国ならびに自由主義同盟国が完全な脱中国を実現するのは難しい。