東日本大震災(2011年)から10年が経過した。私たちの未来調達研究所では、サプライチェーン・調達・購買に関わる会員が1万6408人いる(2021年3月時点)。正確な統計はないが、サプライチェーンの部門を有する大企業に属する会員が多いと思われる。
継続的に、この10年でサプライチェーン強靱(きょうじん)化のためにどのような施策を講じているかをアンケートしており、答えてくれた人は累積で1300人を超える。その結果から、将来に示唆を与えるポイントを説明していきたい。

[質問1]東日本大震災以降、自社サプライチェーン・調達網のリスク状況は?
「以前と同じ」が4割弱であるのをどう捉えるかだが、6割強は「改善した」と答えている。
東日本大震災直後にアンケートを実施した際には「このような震災が起きるとは想定していなかった」と率直な感想があったのに加えて、「サプライチェーンが寸断する可能性があると社内に報告できなかった」との回答もあった。ゼロ・リスク信仰を前提として運営していた企業の姿が垣間見られ、印象的だった。
それから10年、大災害が起きるものだと想定してサプライチェーン改善に取り組むようになった様子がうかがえる。