ロシアのウクライナ侵攻から一週間が経過した(本稿執筆時点)。停戦協議はうまくいっておらず、事態の収束はまだ見込めない。しかし、この戦争の結末がどうであれ、世界中で網の目のようにつながったサプライチェーンには大きな影響を与える。しかも、それは長期間に及ぶだろう。
ウクライナ侵攻によるサプライチェーンへの影響は
戦争が始まってから、ロシアやウクライナからのエネルギーについての不足、寸断、生産停止などが継続して伝えられている。ロシアやウクライナで直接のビジネスを行っている各社は対応に追われた。ウクライナでは日本たばこ産業からはじまって、住友電気工業などの企業は一部、あるいは全ての事業を停止した。またロシアでも、部材不足などからトヨタ自動車は操業停止を余儀なくされた。
さて、先ほどサプライチェーンでは世界が網の目のようにつながっていると書いた。直接ビジネスをしていなくても、間接的に影響が及ぶのは必至だ。
筆者はサプライチェーン関係のコンサルティングに従業している。このところ毎日のように、サプライチェーン関係者と情報交換を行っている。ただ、間接的な影響については、まだ各社とも情報収集に努めている状況だ。そして取引先経由でその情報を集めようとしているものの、日々、戦況も変化しているし、まだ全容が見えてこない。
資材高騰の恐れ
冒頭でエネルギー関係の不安について触れた。報道などでは食料流通の危機について述べる記事も多い。それに加えて、とくに大きく聞こえてくるのが建設関連資材の高騰を恐れる声だ。建設関連資材の価格は実際に上昇していくだろう。
ロシアはアルミニウムと銅の生産国として知られる。これらが世界的な供給不足になるのは間違いない。日本にとっては、ロシアについてはとくにアルミニウムに関する懸念が高い。