米中貿易摩擦や新型コロナウイルス禍など、これまでのサプライチェーンの常識が通用しない事態が相次いで生じている。調達・購買業務コンサルタントの坂口孝則氏がサプライチェーンの“新常識”を解説する。
以前の連載「米中新冷戦時代のサプライチェーン」
未来調達研究所 取締役

米中貿易摩擦や新型コロナウイルス禍など、これまでのサプライチェーンの常識が通用しない事態が相次いで生じている。調達・購買業務コンサルタントの坂口孝則氏がサプライチェーンの“新常識”を解説する。
以前の連載「米中新冷戦時代のサプライチェーン」
大規模な品質不正が発覚した。曙ブレーキ工業は2021年2月16日、自動車用ブレーキの顧客向け定期検査において「不適切な行為」があったと発表した。トヨタ自動車や日産自動車など国内の自動車メーカー10社に供給していたもので、不正な検査データは11万件を超える。
米Apple(アップル)が計画している電気自動車(EV)「アップルカー」の生産を巡り、臆測が広がっている。提携先として最初に名前が挙がったのは韓国Hyundai Motor(現代自動車)だが、同社との交渉は頓挫したとも、アップルは日本の自動車メーカーと交渉中とも報じられている。いずれにしても自動車…
2021年元旦、日本自動車工業会(自工会)をはじめとする自動車関連団体が、「私たちは、動く。」と銘打った広告を新聞各紙に出稿した。さらに、「クルマを走らせる550万人」と題した動画をテレビCMや「YouTube」などで流した。
物流網は一種のインフラであり、そのインフラを有効活用しようという共同配送の試みは理解できる。これまで日本でもたびたび話題になってきた。だが、なかなか定着しない印象がある。
欧米のサプライチェーン関係者では、このような議論が起きている。つまり、サプライヤーの主要評価に新型コロナウイルスのワクチン接種率を入れるべきではないか、というものだ。
ちょうど3年前、ベトナムのハノイで日本企業の社長が技能実習生を面接する場に同席したことがある。ベトナムやカンボジアからの技能実習生が日本で話題になっていた頃のことだ。現地で集めた技能実習生を日本に派遣する「送り出し機関」に私が到着すると、ベトナムの若者たちが温かく迎えてくれた。
このところ私の本業であるサプライチェーンのコンサルティングで企業を訪問していると、企業や個人によって新型コロナウイルス感染症の捉え方に差異があると感じる。新型コロナウイルス感染症を気にする人たちと、気にしない人たちの間には、高い壁が存在する。
トランプ氏の政策といえば「Make America Great Again」「Buy America」などが有名だ。では、バイデン氏はどうか。実は同氏の主張をつぶさに見ていくと、トランプ氏以上の内向き志向が伝わってくる。
「トランプとバイデン、どっちがいいと思う?」 最近、こんな質問をされる機会が増えてきた。私の本業である調達・サプライチェーンのコンサルティングで顧客先に出向いたときの雑談だ。製造業の今後の戦略は、米大統領選から大きな影響を受ける。
トヨタ自動車が新賃金制度を導入する。同社の労働組合も合意したので、新賃金制度の運用は2021年1月に始まる。この新賃金制度がややセンセーショナルに報じられたのは、定期昇給がゼロになる社員が出てくる可能性もあるからだ。
生産現場でも印鑑は幅を利かせている。それこそ清掃の実施証明から、生産進捗、初品(初期流動品)管理、品質確認まで用途は様々だ。ただし、私の肌感覚では、事務処理に比べるとまだ生産現場の方が脱ハンコの取り組みは進んでいる。
今回は「技術者が年収を上げるための方法」について私の考えを述べたいと思う。その結論は「顧問かコンサルタントに転じること」だ。
ホンダはHonda eで「コンパクト」「都市型」というコンセプトを打ち出し、新たな領域で勝負しようとしている。まずは文字通りコンパクトな規模で始めて、量産体制を構築する。バッテリーの価格はなかなか下がらないかもしれないが、安定供給の道筋を付ける。
今は訪問もできない、工場も見てもらえないという状況にある。初対面なのにいきなりビデオ会議システムで、サンプルを画面で見せて、工場もバーチャル見学・監査、というやり方に違和感のある担当者はまだ多い。
イスラエルのベンチャーキャピタリストは、イスラエルでスタートアップのエコシステムが生まれた必然性を語った。それは、その都市や場所の業(ごう)のようなものだろう。翻って、スタートアップ・エコシステム拠点都市の取り組みでは、強化する分野として「宇宙・海洋」「AI」「バイオ」などが挙がっている。私は、「…
トヨタ自動車が在宅勤務制度を拡充すると報じられた。これまで事務部門に限っていた対象を、2020年9月以降は全ての総合職や一部の技術職などにも拡大するほか、工場勤務者への適用も検討するという。柔軟な働き方が認められるのは歓迎すべきことだ。一方で、同社の若手社員などから最近上がっている「自分の手を動か…
セグウェイが発表されたのは01年で、私はとても印象に残っている。なぜならば、当時はITバブル崩壊後で、世の中が次の投資対象に飢えていた。そこにセグウェイの登場だ。自動車に代わるモビリティー。自動車というよりはバイクに近い爽快感があった。何より、排ガスや交通渋滞といった社会問題を解消できるかもしれな…
数年前、あるリスクマネジメントの専門家と話していた際に、名言を聞いた。「世の中には2通りの企業しかありません。サーバーをハッキングされた企業と、それに気づいていない企業です」。私は笑うとともに、深刻さを認識した。
説明会の質疑応答で、最後の質問者が「なぜモデルチェンジが遅れ、マイナーチェンジばかりだったのか。経営陣はどのような議論をしていたのか」と問うた。だが、この本質的な質問への直接的な回答はなかった。私が耳にした端々の話を総合するに、これまでは台数を追い求めていたり、似たような車種同士で売り上げを奪い合…
現在の困りごとは、いまだに書類・印鑑が残っているのは仕方がないとしても、次のフェーズとしては、売り込みができない/売り込みを受けられない、ということ。これまで、会議に出向くと、キーマンがふらっと参加していたり、あるいは決裁者がいたりした。しかし、その人たちは、現在、奥に隠れている。新たに知り合う機…