
サプライチェーン新常識
目次
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トランプとバイデン、日本の製造業にはどちらが好都合か
「トランプとバイデン、どっちがいいと思う?」 最近、こんな質問をされる機会が増えてきた。私の本業である調達・サプライチェーンのコンサルティングで顧客先に出向いたときの雑談だ。製造業の今後の戦略は、米大統領選から大きな影響を受ける。
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一律定昇廃止でトヨタは若手技術者に夢を見せられるか
トヨタ自動車が新賃金制度を導入する。同社の労働組合も合意したので、新賃金制度の運用は2021年1月に始まる。この新賃金制度がややセンセーショナルに報じられたのは、定期昇給がゼロになる社員が出てくる可能性もあるからだ。
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生産現場で意外と進む脱ハンコ、きっかけは検査偽装か
生産現場でも印鑑は幅を利かせている。それこそ清掃の実施証明から、生産進捗、初品(初期流動品)管理、品質確認まで用途は様々だ。ただし、私の肌感覚では、事務処理に比べるとまだ生産現場の方が脱ハンコの取り組みは進んでいる。
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年収を増やしたい製造業の技術者が今すべきこと
今回は「技術者が年収を上げるための方法」について私の考えを述べたいと思う。その結論は「顧問かコンサルタントに転じること」だ。
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「Honda e」は真のEV、日本的なるものが世界を席巻する試金石
ホンダはHonda eで「コンパクト」「都市型」というコンセプトを打ち出し、新たな領域で勝負しようとしている。まずは文字通りコンパクトな規模で始めて、量産体制を構築する。バッテリーの価格はなかなか下がらないかもしれないが、安定供給の道筋を付ける。
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新型コロナでも対面重視の日本製造業に未来はあるか
今は訪問もできない、工場も見てもらえないという状況にある。初対面なのにいきなりビデオ会議システムで、サンプルを画面で見せて、工場もバーチャル見学・監査、というやり方に違和感のある担当者はまだ多い。
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あえて問いたい「日本版シリコンバレーに必然性はあるか」
イスラエルのベンチャーキャピタリストは、イスラエルでスタートアップのエコシステムが生まれた必然性を語った。それは、その都市や場所の業(ごう)のようなものだろう。翻って、スタートアップ・エコシステム拠点都市の取り組みでは、強化する分野として「宇宙・海洋」「AI」「バイオ」などが挙がっている。私は、「…
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若手技術者の退職に悩むトヨタ、在宅勤務で情熱は生まれるか
トヨタ自動車が在宅勤務制度を拡充すると報じられた。これまで事務部門に限っていた対象を、2020年9月以降は全ての総合職や一部の技術職などにも拡大するほか、工場勤務者への適用も検討するという。柔軟な働き方が認められるのは歓迎すべきことだ。一方で、同社の若手社員などから最近上がっている「自分の手を動か…
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生産中止の「セグウェイ」が示した価値の本質
セグウェイが発表されたのは01年で、私はとても印象に残っている。なぜならば、当時はITバブル崩壊後で、世の中が次の投資対象に飢えていた。そこにセグウェイの登場だ。自動車に代わるモビリティー。自動車というよりはバイクに近い爽快感があった。何より、排ガスや交通渋滞といった社会問題を解消できるかもしれな…
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ホンダ工場停止は氷山の一角、サイバー攻撃に無防備な日本製造業
数年前、あるリスクマネジメントの専門家と話していた際に、名言を聞いた。「世の中には2通りの企業しかありません。サーバーをハッキングされた企業と、それに気づいていない企業です」。私は笑うとともに、深刻さを認識した。
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台数減も開発負荷は増加、日産の再生計画に下請けは耐えられるか
説明会の質疑応答で、最後の質問者が「なぜモデルチェンジが遅れ、マイナーチェンジばかりだったのか。経営陣はどのような議論をしていたのか」と問うた。だが、この本質的な質問への直接的な回答はなかった。私が耳にした端々の話を総合するに、これまでは台数を追い求めていたり、似たような車種同士で売り上げを奪い合…
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大企業の工場週休3日制は合理的、だが中小企業は付いてこられるか
現在の困りごとは、いまだに書類・印鑑が残っているのは仕方がないとしても、次のフェーズとしては、売り込みができない/売り込みを受けられない、ということ。これまで、会議に出向くと、キーマンがふらっと参加していたり、あるいは決裁者がいたりした。しかし、その人たちは、現在、奥に隠れている。新たに知り合う機…
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営業赤字1兆円もあり得るトヨタ、黒字予想は猛烈なカイゼンの号砲
皆が注目していたのはむしろ2021年3月期の業績予想である。多くの企業が予想の公表を控える中、同社は見通しを示した。それによると、同期の連結販売台数は前期比21.9%減の24万台。それに伴い。売上高は同19.8%減の24兆円、営業利益は同79.5%減の5000億円まで下がるという。このあまりの落ち…
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中国外しや国内回帰は愚策、製造業の「三密」を今こそ排除せよ
私は驚いてしまったが、意見交換会でサプライチェーン関係者の話を聞くと、いまだに調達先・取引先の選定にトップの「鶴の一声」が効いている企業がある。「なぜこの取引先から調達しているのか?」「そもそもなぜ国内から調達するのか?」などの疑問を突き詰めていくと、「企業のトップ同士がつながっていて」とか「役員…
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ウィズコロナ時代の製造業に不可欠な「3つの技術」と「3つの戦略」
単純に中国経済が復活し、建設需要が盛り返してきたという側面もあるだろう。しかし、私はそれ以上の可能性を感じずにはいられない。それは、新型コロナウイルスと折り合いを付けながら経済活動を継続する「ウィズコロナ」や、新型コロナウイルスの感染が収束した「アフターコロナ」時代の製造業の姿だ。
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製造業「真の危機」は5月、緊急事態宣言で開発も設備投資もストップ
2020年4月7日、安倍晋三首相は緊急事態宣言を発令した。東京や大阪など7都府県が対象だ。緊急事態といっても私の周囲や街中の様子から驚きは見られない。むしろ、「ああ、ついに宣言されたか」という諦観が感じられる。とはいえ、日本の製造業に大きな影響が出ることは避けられない。そして、本当の危機が来るのは…
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「自動車メーカーは対策丸投げ」、新型コロナに苦しむサプライヤーの叫び
中国からモノが入ってこない、という問題がたった数週間前まではサプライチェーン関係者のなかで話題の中心だった。しかし、現在では中国はむしろ復帰状態にあり、調達品の問題が薄らいできたとする回答が多くなってきた。もちろん完全に元通りになったわけではないし、省による違い、または物流問題も払拭されたわけでは…