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 新型コロナウイルスの影響で、自動車生産が未曽有の深刻な水準にまで落ち込みそうだ――。英調査会社IHSマークイット(以下、IHS)が2020年の自動車生産台数を年初の予測から再び下方修正。約1800万台減り、7100万台程度まで落ちる可能性があることが分かった。リーマン・ショックの影響を受けた2009年の減少率を大きく上回る歴史的な水準だ。自動車・部品各社は、生き残りを懸けた正念場を迎える。

トヨタ自動車の車両生産風景
トヨタ自動車の車両生産風景
米国インディアナ工場で、「ハイランダー」を生産する様子。(出所:トヨタ)
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 IHSは2020年3月26日に年初に予測した8887万台から約12%減って7790万台になると公表していた。わずか2週間ほどで減少幅を2割減まで拡大させたことになる。リーマン・ショックの影響が大きい2009年の減少幅である12%を大きく上回る。

 予測を大幅に減らした要因は、需要の蒸発だ。国内自動車メーカー幹部は、「どこまで需要が落ち込むのか、いつから回復するのか見通せない」と危機感をあらわにする。IHSは2020年の世界新車販売が年初見込みに比べて約2割減の7145万台になると、大幅に予測値を下げた。

 少し前まで自動車生産減少の要因として部品供給体制(サプライチェーン)に焦点が当たっていたが、完全に潮目が変わった。IHSの西本真敏氏は、「前回予測値からさらに需要の減少を織り込んだ。部品供給の問題を解消して生産を再開し、需要が少しでも戻ることを期待したい」と話す。

 需要の減少幅がさらに拡大すると予測を見直したのは、新型コロナの感染者数がピークアウトして収束する時期の想定を後ろにずらしたことが大きい。従来は5月くらいとみていたようだが、7月くらいにずれ込むと考え直した。

 感染者数がピークアウトし、その後に収束した時期に合わせて各国政府は大規模な需要喚起策を講じる。その後、緩やかに自動車需要が回復するだろう。逆に言えば、ピークアウトの時期が遅れるほど需要の減少幅が膨らむ。