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 通信ネットワークの停滞懸念が強まっている。安倍晋三首相が2020年4月7日に東京、神奈川、埼玉など7都府県を対象に緊急事態宣言を発令し、テレワークの需要が一層高まっていることが背景にある。国内通信大手によると同年3月下旬の通信トラフィック(日中)は同年2月比で最大40%増えた。都市封鎖(ロックダウン)など日本よりも厳しい施策を投入する欧州では、トラフィックの総量が最大で70%も増えた例がある。社会の生命線となったネットワーク維持に向けて予断を許さない状況が続く。

国内通信大手、平日日中で4割増

 「緊急事態宣言発令後の4月8日の通信トラフィック(以下、トラフィック)は、それほど増えていない。しかし3月以降、トラフィック量は継続的に増えており、今後も注視していく必要がある」。国内で約720万の契約を持つプロバイダー大手のNTTコミュニケーションズ(本社・千代田、以下NTTコム)の吉田友哉エバンジェリストは最新のトラフィック状況をこう打ち明ける。

 NTTコムによると、政府が全国の小中高に一斉休校を要請した3月2日以降、平日日中(9〜18時)の時間帯のトラフィックが急増した。2月最初の週と比べた場合、3月2日の週で30〜35%増、3月9日以降の週で35〜40%トラフィックが増えている。通常1年かけて増えるようなトラフィックがわずか数週間で発生している。

 増えているトラフィックはリモートアクセスに使われるSSL通信とビデオ会議、動画配信、SNSなどソーシャルメディアサービスの4種類だ。企業の在宅勤務や学校教材のオンライン配信などの影響が考えられるという。

 トラフィックの増加が顕著なのは平日日中の13〜15時の時間帯だ。1日のピークとなる22時ごろのトラフィックは2月比で10%程度の増加にとどまっているという。東京などで外出自粛要請があった3月28、29日の週末の2日間は、前週比で5〜10%増だった。

 プロバイダーはピーク時のトラフィックを基準に、余裕を持たせてネットワーク容量を増やしている。現在は、これまでトラフィックが少なかった平日日中の通信量が底上げされている状況で、ピーク時のトラフィックが著しく増えているわけではない。

 吉田エバンジェリストは「現在の2倍のピークトラフィックに増えたとしても、NTTコムのバックボーンネットワーク(インターネットの主要回線、以下バックボーン)は耐えられる設計にしている。しかしバックボーン以外の部分でネットワークにはさまざまなボトルネックが考えられる。予断を許さない状況」と気を引き締める。