「もっと早く新型が欲しい」「納期を短くできないか」――。新型コロナウイルスの影響を受けて、ロボット開発スタートアップのZMP(東京・文京)にはこんな問い合わせが急増している。
同社が手掛ける無人フォークリフト「CarriRo Fork」シリーズを導入すれば、物流倉庫で働く作業者の人数を減らせ、感染症の拡大リスクを抑えられるからだ。深刻な人手不足の課題も相まって、無人フォークリフトの導入を数年前倒しする動きが加速してきた。
ZMPは2019年12月に揚高3mほどの無人フォークリフトを発売し、2020年5月には揚高5.6mの新型モデルを市場投入する計画だ(図1)。ラインアップを増やして荷物を高い棚に格納できるようにする。これにより、日本の大部分の物流倉庫でZMPの無人フォークリフトを導入可能になる。
ZMPの無人フォークリフトは、倉庫内に設置した反射ポールを認識して位置を制御する。車体上部2.2mの高さに搭載した2次元LiDAR(レーザーレーダー)でポールからの反射光を捉える仕組み。自律走行の精度はプラスマイナス20mm程度に抑えた。車両下後部にもLiDARを搭載しており、こちらは障害物の検知に使う。後方周辺の危険を察知した場合、車両は一時停止する。作業範囲の設定といった情報を読み込ませ、数日間の調整を済ませればすぐに運用を始められる。
最大の強みは価格競争力にある。新型モデルの場合、5年間のリースで月33万8000円(税別)の料金で使える。無人フォークリフトの競合である豊田自動織機の「トヨタL&F」や三菱ロジスネクストの製品に比べ、価格は半額ほどに抑えた。一般的な無人フォークリフトは導入コストの回収までに5年ほどかかることが多いが、安価なZMPのモデルなら2〜3年で済む。導入ハードルを引き下げることで市場開拓を狙う。