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 国内で製造業の工場や事業所が操業停止に陥るリスクが高まっている。新型コロナウイルスの感染者が増加し続ける中、日本の大手企業に従業員の感染者が続出しているからだ(表1)。企業は一通りの感染対策をしているというが、「抜け漏れ」はないか。

 同じ企業の異なる拠点から新型コロナの感染者が出ているのがトヨタ自動車である。同社高岡工場(愛知県豊田市)とトヨタ自動車九州の宮田工場(福岡県宮若市)、元町工場(愛知県豊田市)の4拠点で発生した。富士通は、小山工場(栃木県小山市)と川崎工場(川崎市)の2拠点で見つかった。

自宅待機、閉鎖、稼働停止

 新型コロナに感染した従業員が発覚した場合、企業はその対応で大きな負担を強いられる。まず、最寄りの保健所に連絡し、同所の指導に従う。感染者本人はもちろんのこと、濃厚接触者となる従業員を見つけ出し、2週間の自宅待機を指示する。感染者が勤務していた場所(職場)を閉鎖し、消毒する。職場以外に感染者が訪れたり触れたりした場所や箇所があれば、それも消毒する。そして、保健所から要請される再発防止策(感染予防・拡大防止策)を講じ、十分な安全性が確認されるまで工場や事業所の操業を停止しなければならない。

 東レは、岡崎工場(愛知県岡崎市)で勤務する子会社の従業員が新型コロナに感染した。濃厚接触者の20人が14日間の自宅待機となった。村田製作所は、福井村田製作所武生事業所(福井県越前市)のスタッフ部門の従業員が新型コロナに感染。全従業員に自宅待機が指示された上、同事業所が3日間の操業停止となった。TDKは、TDK庄内鶴岡工場(山形県鶴岡市)の従業員が新型コロナに感染し、約1週間の操業停止を余儀なくされた。

表1 従業員が新型コロナに感染した大手企業とその影響
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表1 従業員が新型コロナに感染した大手企業とその影響
従業員は子会社や関連会社の従業員も含む。(作成:日経クロステック)

本当に対策は十分か――チェックリストを確認

 「他社と同様に一般的な対策を実施している」(トヨタ自動車)、「足りないところがあったとは思わない」(日産自動車)――。企業は感染対策を一通り行っていると話す。確かに、勤務時間以外まで企業は従業員を管理できない。夜間の飲食店で会食して、従業員が新型コロナに感染したケースなどはどうしようもない。それでも、工場や事業所が受ける新型コロナの影響を最小限に抑えるために、自社の感染予防・拡大防止策に抜け漏れがないかを見直す価値はありそうだ。

 表2は、製造業各社への取材や調査などから作成した、新型コロナの感染予防・拡大防止策のチェックリストである。出勤・勤務形態や衛生、会議・面会、社内勤務時、来訪者といった各分野で足りない項目がないかを確かめる際に参考にしてほしい。さらにこのチェックリストを参考に、自社向けに最適化したり、より効果的なチェックリストを新たに作成したりしていただきたい。

表2 新型コロナの感染予防・拡大防止策のチェックリスト
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表2 新型コロナの感染予防・拡大防止策のチェックリスト
各社の取材や調査、SOMPOリスクマネジメント(本社・新宿)の資料などを参考に日経クロステックが作成した。