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 「生産と開発の両方が停滞しそうだ。毎日もどかしさを感じている」――。ある大手2輪車メーカーの開発担当マネジャーは、ため息交じりにこう打ち明けた。

 新型コロナウイルスの感染者が世界で230万人に達し、死者は16万人を超えた(2020年4月20日時点)。部品供給の停滞や工場の稼働停止、開発の遅延など、日本の“お家芸”とも呼べる2輪車産業は、この「見えない敵」によってダメージを受け続けている。各社に取材したところ、2輪車メーカー特有の“弱点”が見えてきた。

アジア軸足に課題

 2輪車で世界首位のホンダは、新型コロナの影響を受けて世界で数十万台規模の減産に動いたようだ。旗艦工場と位置付ける日本の熊本製作所は、2020年4月13~14日の短期的な稼働停止にとどめた。しかし、同社は年間で約2115万台を生産し、そのうち8割以上は日本・中国を除くアジアで造っている(2018年実績)。

 2輪車メーカーは比較的柔軟に生産台数を調整できるため、いったん減産にかじを切り、新型コロナの終息後に増産する手もある。ただ、アジアでの感染拡大が長期化した場合、頼りの新車市場は縮小を避けられない。

図1 インド市街を走るホンダの2輪車
図1 インド市街を走るホンダの2輪車
(出所:ホンダのインド法人)
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 「工場の再稼働がまた延期になってしまった」――。ホンダの広報担当者は悲しげに語った。4月16日、新たに6カ国で工場再稼働を延期するとの情報が、日本のホンダ本社に飛び込んできた。

 主力のアジアをはじめ、欧州や南米で工場の稼働再開を遅らせる。アジアでは、インドの工場の稼働停止期間を19日間遅らせ、5月3日までとした。感染拡大を防ぐために同国政府が発令した「外出禁止令」に対応する。ホンダはインドに4カ所の工場を構えており、合計で年間640万台の2輪車を生産できる。インドでは3月23日から1カ月半近く生産ラインを止めることになり、単純計算で70万台以上の生産機会を失う。

 同じくアジアでは、パキスタンの工場も再稼働を16日間遅らせ、4月30日までストップする。ホンダは同国の2カ所に工場を構えており、合計で年間135万台を生産できる。

 欧州では、スペインとイタリアの工場だ。スペイン工場は稼働停止期間を10日間遅らせて4月24日まで、イタリア工場は同7日間延ばして4月30日まで工場を止める。欧州は中型車両の生産拠点となるため、生産可能台数はそれぞれ年間10万台を下回る規模だ。

 南米では、アルゼンチンとペルーの工場で再稼働を遅らせ、4月24日まで生産を停止する。それぞれ、当初の計画よりも12日間遅らせる。アルゼンチンでは年間14万台、ペルーでは年間3万5000台の2輪車を生産可能だという。