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 「自動車業界の勝ち組と負け組がハッキリする」――。モーター大手の日本電産で会長・CEO(最高経営責任者)の永守重信氏は、2020年4月30日に開いた同年3月期の決算会見でこう繰り返し強調した。

 永守会長は、新型コロナウイルスの感染拡大による市場縮小で、自動車業界の競争は激しさを増すと分析する。同業界に対して「おそらく勝ち組は2~3社になる。うっかり負け組に部品を供給したらアウトだ」と語った。

 新型コロナが世界中で猛威を振るい、自動車業界を含む製造業に逆風が吹く。このような状況でも「ピンチをチャンスに変える」のが永守会長流の経営術だ。同社の2020年3月期の純利益は600億円と前期比で45%減ったが、2021年3月期はV字回復の目標を掲げる。2020年3月期に比べて66%増の1000億円を計画する。さらに、研究開発費は同64億円増、設備投資費は同71億円増と攻めの姿勢を貫く。

図 2020年3月期の決算会見に登壇した日本電産会長でCEOの永守重信氏
図 2020年3月期の決算会見に登壇した日本電産会長でCEOの永守重信氏
新型コロナウイルスの影響を受けて決算会見をオンラインで配信した。2020年4月30日。(出所:日本電産による決算会見のスクリーンショット)
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 同社は日産自動車で幹部だった関潤氏を迎え入れ、2020年4月1日付けで社長に昇格させた。永守会長と関社長の2トップ体制を明確にして、新型コロナ終息後の「アフターコロナ」に向けて走り出している。

 今回の決算会見は、新体制をスタートさせた日本電産の所信表明でもあった。永守会長の主なやり取りは以下の通り。

新型コロナの終息はいつと見据えているのか。

 新型コロナの影響は少なくとも1年間は続くだろう。影響の度合いはアップダウンすると思うが、それより早く収まるという考え方は少し甘い。2008年のリーマンショックの時は影響が3年続くとみたが、実際には1年半ほどで終わった。しかし、新型コロナはそう簡単にはいかなそうだ。

 では、世界的な影響が長引いたときはどうするか。長引くということは、競争力がある企業だけが生き残れる。長引けば長引くほど、必死になってやった企業が勝ってシェアを拡大する。そして、世界が正常に戻ってきた時に、価格対応をどのくらいできるのかが勝敗を分ける。価格競争力に優れる当社はシェアを拡大できる可能性がある。まさに、ピンチをチャンスにする考え方だ。

 ただ、今回はあくまで人命第一だ。それはどこまでいっても変わらない。人命を損ねて会社を伸ばそう、利益を上げようという考えはない。