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 新型コロナウイルス禍でもソニーのイメージセンサーは好調だ。2020年3月期通期連結決算では、全体の売上高が前期比4.7%減の8兆2598億円、営業利益が同5.5%減の8454億円にとどまる中、イメージセンサーが大半のイメージング&センシング・ソリューション(I&SS)部門は売上高が同21.7%増の1兆705億円、営業利益が同63.7%増の2355億円と、大幅な増収・営業増益を果たした。新型コロナの影響が表れ始めた直近の20年1~3月期に限っても、前年同期比で売り上げや利益を伸ばしている。

イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)部門の業績
イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)部門の業績
20年3月期は売上高が1兆円を突破し、営業利益率も20%を超えた。全社でもゲーム&ネットワークサービス(G&NS)部門と並ぶ稼ぎ頭である。(ソニーの資料を基に日経クロステックが作成)
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 ソニーは21年3月期の業績予想を開示しなかったが、I&SS部門については「売り上げは前期並みになるかもしれない」(ソニー代表執行役専務兼最高財務責任者の十時裕樹氏)。裏を読むと、増収を見込んでいるということだ。さすがに営業利益は前期比で30%程度の減少を“覚悟”しているものの、それでも同50~75%減のエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)部門に比べれば傷は浅い。

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 ところが、そんなイメージセンサーにも新型コロナの影響は忍び寄っているという。十時氏は決算発表説明会において、I&SS部門の業績を脅かしかねない3つのリスクに言及した。

“見えない”在庫が増加

 1つめのリスクは、イメージセンサー需要の立役者であるスマートフォン市場の冷え込みである。米調査会社のIDCによれば、19年の世界スマホ出荷台数は前年比2.3%減の13億7100万台だった。同社の調査では、もともとスマホ出荷台数は2年連続で減っていたが、直近の20年1~3月期は前年同期比11.7%減(2億7580万台)とさらに落ち込んだ。世界各国の都市封鎖(ロックダウン)解除に伴い、スマホの供給は徐々に回復しているが、需要がどこまで戻るかは不透明である。

 2つめのリスクは、“見えない”在庫の存在である。十時氏によれば、20年3月期はスマホを上回る形でイメージセンサーの販売が伸びており、サプライチェーン上の在庫が増えている。そのため、スマホの需要がある程度回復しても、イメージセンサーの需要はそれほど回復しない可能性がある。