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 「最悪の1日だった。結局、一睡もできずに朝を迎えた」――。日経クロステックの取材に応じた今村雅史氏(仮名、30代男性)は2020年5月16日、うつむきながら現在の心境を明かした。表情に覇気はなく、声色からはいら立ちや悔しさがにじみ出ていた。

図 レナウンの社員証
図 レナウンの社員証
同社は2020年5月15日、負債総額約138億円で事実上の経営破綻となった。(出所:レナウン現役従業員である今村雅史氏の提供)
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 取材前日の5月15日、東証一部に上場する大手企業の1社が倒れた。社名はレナウン。同社は子会社を通し、法的整理の一つである民事再生法の適用を東京地裁に申請。5月15日までに受理され、事実上の経営破綻となった。負債総額は約138億円。新型コロナウイルスの感染拡大以降、国内の上場企業が経営破綻するのは初となる。

 レナウンは1902年創業の老舗で、高度経済成長とバブルの追い風に乗って世界最大規模のアパレル企業まで成長した。衣類・雑貨の企画や製造、販売までを広く手掛け、「ダーバン」を筆頭に30以上のブランドを展開する。国内に数カ所の生産子会社を構えるブランド衣料メーカーの名門的な存在だ。

頭が真っ白に・・・

 そんな名門企業であるが、昨今のアパレル業界の競争激化には耐えられなかった。取材に応じた今村氏は、レナウンの物流部門に数年間勤める現役の従業員だ。同氏は、経営破綻当日のことを以下のように振り返る。

 「その日は夕方まで、所属部門で通常通りに勤務していた。直属の上司や他部署の管理職が打ち合わせに集まっていたが、その打ち合わせがなかなか始まらない様子だった」。

 「私は、担当する作業が終わったところで上司から『先に帰っても良いよ』と促されて退勤した。その帰り、メディアの報道で自社の経営破綻を知った。頭が真っ白になったが、すぐにこの状況を作った親会社への怒りがこみ上げてきた」。

 経営破綻の原因は、本業であるアパレル関連の業績悪化に、新型コロナの感染拡大による世界的な需要の蒸発が追い打ちをかけたこと。ただ、今村氏は「世間は“コロナ倒産”として扱っているが、本質的な原因は別にある」と指摘する。