オンラインの生活から抜け出しリアルなイベントへの回帰を模索
新型コロナ禍で世界中の国々の活動が止まり、展示会や会議なども中止の憂き目に遭った。それに代わってオンライン会議やバーチャル展示会などが活用されるようになってきた。これらは、アフターコロナのニューノーマル(新常態)の1つの方向であることは間違いないが、人々の生活すべてをバーチャルの中で賄うわけにはいかない。日本や世界の国々でも、従来の社会活動、経済の再開やリアルなコミュニケーションを求める声の高まりを受けて徐々に解禁される方向にはある。とはいえ、各国ともに依然として慎重な対応を崩さない。
一方、新型コロナの影響が落ち着いてきた中国では、多くのイベントがリアルへの回帰を求めて動き出し始めた。今回のオンライン会議では、これまでのディスプレー産業界としての感染症対策を総括した上で、元の世界に戻すためのリアルな展示会の開催への意欲も高まっていた。実際に、6月からは中国各地でリアルイベントも徐々に再開され始めた。ディスプレー業界でも7月21日から4日間の会期で上海の国家会展中心にて「Display Innovation Convention & Expo」の開催が決まった。
中国以外の国・地域では総じて、展示会など大規模イベントの再開には慎重である。日本のCEATEC 2020 ONLINEや台湾のTouch Taiwan 2020はオンライン開催が決まった注)ものの、COMPUTEX TAIPEI 2020は開催中止となった。米国の大規模なリアルイベントは来年(2021年)半ばまで開催できないとの噂も聞こえてくる。感染拡大と押さえ込みで先行した中国が、大規模イベントの再開で先んじて成功すれば、新型コロナ以前に製造の中心を担っていた中国が、アフターコロナでさらに影響力を増す可能性が高い。