人々の生活に欠かせなくなった通信。産業を革新すると言われる「5G」(第5世代移動通信システム)以降も様々な技術進化を遂げていきます。通信専門紙「日経コミュニケーション」や日本経済新聞社などで長年、通信分野を担当してきた筆者が、新たなトレンドの息吹を追います。

堀越功の次世代通信羅針盤
目次
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KDDIが1000億円投入しメタバースに本腰、過去3年で見つけた勝ち筋とは
KDDIは過去3年にわたって都市と連動したメタバース「バーチャル渋谷」などを展開してきた。これらの経験を踏まえて、現時点で見えてきたメタバースの勝ち筋を追求したのが今回のαUという。KDDIが見出したメタバースの勝ち筋とは何か。
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ドコモが第2のメタバースを始める理由、仮想空間の課題とは
NTTドコモがOpen Houseの目玉として打ち出したのが、2023年2月中にβ版サービスを開始する予定の新たなメタバースサービス「MetaMe(メタミー)」だ。とはいえドコモは既に2022年3月から商用メタバースサービス「XR World」を提供している。なぜドコモはこのタイミングで別のメタバ…
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Webの思想で障害に強いモバイル網を、ソフトバンクらが「ステートレスな5Gコア」
2022年は相次ぐ通信障害が社会的問題化した。その根底には、現在のモバイル網が従来の電話の仕組みを引きずり、スケールしづらいという本質的な課題が横たわっている。そんな課題を解消しようと果敢に挑んでいるのがソフトバンクだ。東京大学と共同で、障害に強い新たな5Gコアネットワーク(5GC)のアーキテクチ…
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地盤沈下が進む日本の5G、エリクソン日本法人社長が語る処方箋
「日本のモバイルネットワークが、世界に出遅れるのを見るのは初めてだ。日本は5G(第5世代移動通信システム)の展開を加速する必要がある」――。このような警鐘を鳴らすのは、スウェーデンの通信機器大手Ericsson(エリクソン)の日本法人エリクソン・ジャパン社長を務めるLuca Orsini(ルカ・オ…
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楽天モバイル「Open RAN」ラボに潜入、ノウハウ集積の中身
「プラチナバンド」獲得を巡る既存3社との舌戦など、2022年も多くの話題を振りまいた楽天モバイル。そんな同社だが、基地局を含めた仮想化ネットワークの導入や、「Open RAN」の先進事例として注目を集めている。同社のノウハウの集積地となっているのが「楽天モバイルオープンイノベーションラボ」だ。
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KDDI・NTT西日本・楽天、相次ぐ大規模障害で浮かび上がる3つの共通リスク
2022年7月以降、KDDIやNTT西日本、楽天モバイルなどで数百万人以上の利用者が長時間にわたって通信を使えなくなる大規模障害が相次いでいる。筆者は総務省の有識者会議に参加し、大規模障害の原因を分析・検証する作業を進めている。利用者にとって信頼できるネットワークにしていくために業界全体として何が…
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いよいよ2023年3月商用スタートNTT・IOWN、第1弾「APN」の実力は?
NTTが2030年代の情報通信基盤を塗り替えようと一丸となって取り組む「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」構想。その第1弾となる「IOWN1.0」が早くも2023年3月に商用サービスを開始となる。その実力に迫る。
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紛糾プラチナ再割り当て議論、急転直下「楽天寄り」で決着した背景
楽天モバイルとNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの既存大手3社の間で激しい対立を見せていた「プラチナバンド」の再割り当て議論が、ようやく決着の方向性を見せた。2022年11月8日、総務省の有識者会議がプラチナバンドの再割り当てについての考え方をまとめた報告書案を示したからだ。
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ノキア幹部が語る、他国と比べて日本の5G顧客満足度が低い理由
日本で5Gの商用サービスが始まって2年半が過ぎた。だが利用者からは、5Gならではのメリットを喜ぶ声がまだまだ聞こえてこない。フィンランドNokia のBrian Cho氏は、「確かに日本は他国と比べて5Gの顧客満足度が低い。それは日本は他国と比べて4Gの体感品質が良く、5Gと4Gの差分を感じられな…
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「1ミリも納得できない」、視界不良の楽天プラチナバンド再割当て
楽天モバイルがNTTドコモとKDDI、ソフトバンクに対して「プラチナバンド」と呼ばれる電波が届きやすい周波数帯の再割当てを求めている件について、双方の対立が激しくなっている。「1年以内」のプラチナバンド利用を要求する楽天モバイルに対し、既存3社は「10年程度の移行期間が必要」などと反論。移行費用額…
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イーロン・マスクの「Starlink」もスマホ直接通信へ、iPhone 14も衛星対応?
起業家のElon Musk(イーロン・マスク)氏率いる米SpaceX(スペースX)は2022年8月25日(米国現地時間)、巨大衛星通信網「Starlink(スターリンク)」の第2世代において、衛星とスマートフォン(スマホ)を直接通信できるようにすると発表した。海の上や山間部など現在の携帯電話網では…
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再発防止策で見えてきたKDDIの課題、大規模通信障害の教訓
KDDIは2022年7月29日、同月2日未明に起こした大規模通信障害の原因と再発防止策を発表した。不具合の連鎖を生んだ障害の発端は、手順書の取り違えという単純ミスであることが明らかになった。KDDIが公表した原因と再発防止策からは、同社のネットワーク運用ノウハウが不十分であったことも見えてきた。K…
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なぜ大規模・長期化したのか、KDDI通信障害を検証する
KDDIが2022年7月3日と同月4日に相次いで開催した会見から、今回の通信障害で何が起きていたのかが徐々に明らかになってきた。果たしてKDDIの対応は適切だったのか。現時点の情報から検証してみたい。
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KDDIが先陣「ネットワークスライシング」、現在の限界と進化の道
いよいよ日本国内で、5G(第5世代移動通信システム)のキラーサービスといわれる「ネットワークスライシング」の商用化が始まった。KDDIが2022年2月末、法人を対象にいち早くネットワークスライシングの商用展開を開始したからだ。ネットワークスライシングは、1つの物理的なネットワークを用途に応じて仮想…
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インテル独壇場にクアルコムら挑む、仮想化基地局「vRAN」主導権
楽天モバイル(以下、楽天)が全面的に採用したことで世界的な注目を集めている仮想化基地局「vRAN」。現在vRANのチップ周りをほぼ独占する米Intel(インテル)の牙城を崩すべく、米Qualcomm(クアルコム)や米Dell Technologies(以下、デル)などが新たなvRANソリューション…
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ドコモもついに「なんちゃって5G」、4G電波の5G転用はなぜ今か
NTTドコモが2022年春から4G周波数帯の一部を5G(第5世代移動通信システム)向けに転用する方針を明らかにした。2年後の24年3月に人口カバー率90%超を目指す。
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LTEの父が指摘する「2050年の大変化」、標準規格の境界が消滅?
「2050年ごろには標準規格の境界がなくなり、標準化がなくても通信が勝手につながる世界が来るかもしれない」――。このように語るのは、国際電気通信連合(ITU:International Telecommunication Union)の電気通信標準化局長の候補として日本政府が擁立した、NTT CS…
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真の5G「SA方式」の不都合な真実、当初遅くなるのはドコモだけ?
真の「5G(第5世代移動通信システム)」といわれるSA(Stand Alone)方式がいよいよ日本でも本格的に始まった。だが物事には表と裏があるのが常。進化した5GであるはずのSA方式が当初、現行のNSA方式と比べて、通信速度がどうしても劣化してしまうという「不都合な真実」がある。
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ローカル5Gビジネスにも進出、AWSはどこまで携帯網を飲み込む?
携帯電話ネットワークを次々に侵食する米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)から、またしても注目のサービスが登場した。2021年11月30日(米国時間)に同社のイベント「AWS re:Invent 2021」にて発表した「AWS Private 5G」がそれだ…
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「人手では限界」KDDIが5年かけ運用自動化、匠の技をシステムに
今やネットワークは、我々の社会や生活を支える必要不可欠な基盤だ。同時にネットワークの運用は、サービスが多様化することでどんどん複雑化している。このような背景を受けてKDDIは、ネットワークの運用を自動化するシステムを開発。2021年度から運用を開始した。5年以上の歳月をかけてネットワーク運用者の「…