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 総務省は2020年6月30日、5G(第5世代移動通信システム)の次の世代「6G」へ向けた戦略「Beyond 5G推進戦略」を公表した。日本は5Gの商用化で米中韓などから遅れ、必ずしも主導権を握れなかった。その反省から、2025年にいち早く6Gの主要技術を世界に示すという野心的な目標を掲げた。もっとも実際に日本が6Gで主導権を握るためには、海外の成功例も徹底的に学ぶ必要がある。学ぶべき成功例とは、過去10年で驚くべき成長を遂げた中国ファーウェイ(華為技術)にほかない。

パートナー企業とともに世界シェア3割目指す

 Beyond 5G推進戦略では、基本方針として「グローバル・ファースト」「イノベーションを生むエコシステムの構築」「リソースの集中的投入」の3つを掲げた。

総務省が打ち出した「Beyond 5G推進戦略」の概要
総務省が打ち出した「Beyond 5G推進戦略」の概要
(出所:総務省)

 日本の情報通信政策はこれまで、「まず国内を固めて、その後に海外へ」という発想から脱却できていなかった。6Gでは「まず海外市場ありき」と発想を変えて、オール光ネットワークや完全仮想化、テラヘルツ波など日本が強みを持つ分野にリソースを集中投入。6Gインフラを構成するハードウエアとソフトウエアの世界市場において「パートナー企業とともに市場シェアの3割程度を獲得すること」という高い目標を掲げた。

 5G関連特許では欧米や中国、韓国の企業が主要特許を押さえた。その点を踏まえ、6Gの必須特許数シェアにおいて、日本は世界トップシェアと同水準の10%以上獲得を目指す。

 総務省はこれらの戦略を産官学で推進する母体として「Beyond 5G推進コンソーシアム(仮称)」を設置する。先行する取り組みについては、25年開催の大阪・関西万博で世界に示すことで、5Gで一敗地に塗れた日本の失地回復を目指す考えだ。

過去の反省踏まえ「世界市場で勝つ」

 6G商用化は30年代に本格化するとみられる。5G商用化が始まった段階で、随分気が早いと思われるかもしれないが、既に欧州や韓国などでは18年から6G研究開発プロジェクトが動きだしている。通信技術の研究開発は多額の投資と長い期間が必要であり、標準化議論が始まる前までがある意味勝負だ。今回の戦略は6Gで世界の先陣を切るという総務省の意気込みを感じる。

 それは日本が5Gで主導権を握れなかったという反省もあるのだろう。5G商用化で日本は米国や韓国に1年遅れ、携帯電話基地局の売上高シェアで日本勢は1%程度にとどまっているからだ。

 日本の5G戦略は何が足りなかったのか。総務省が本格的に5G戦略を打ち出したのは、14年に開催された電波政策ビジョン懇談会でのこと。同懇談会の中間とりまとめを基に14年9月、産官学で5Gを推進する「第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)」が立ち上がった。通信事業者や国内外のメーカーはもちろん、大学関係者も集ったオールジャパンの5G推進戦略が進められてきた。

 だが今から振り返ってみると同懇談会や5GMFの活動は、5G周波数帯の国際協調や日本国内の5Gユースケース開拓をメインとしており、「日本が世界市場で打ち勝つ」という視点が十分とはいえなかった。

 今回の6G戦略は、日本が優位性を持つ技術分野にリソースを集中投入し、世界市場で日本の競争力を回復するという視点を盛り込んでいる。これは、社会基盤と化す5G以降のインフラが日本の成長戦略につながるという期待も込めているのだろう。