PR

高周波成分で基幹脳部分の血流が増大しα波が出る現象

 サンプリング周波数の基本を押さえたところで、本題に入る。筆者はハイレゾ肯定派だ。したがって、肯定派の目線で「なぜ、可聴範囲を超えた周波数を収録した音楽コンテンツのほうが印象深く聴こえるのか」という視点で考えてみたい。

 ただ、結論を先に述べてしまうと、「なぜだか分からない」。いきなり梯子を外すようで申し訳ない。

 「分からない」こともあり、筆者は以前のコラムで「体験」を中心に書き、その上で「ハイレゾがいかに無意味であるかを証明することだけに多大なリソースをつぎ込むのではなく、『なぜ、音の変化を感じる人がいるのか』『そこで何が起こっているのか』ということの探求にも能力と知識を割いていただきたい」と読者のみなさんに下駄を預ける形にした。これが一部の読者に不評を買ったのだが、「分からない」とするのは次の理由によるものだ。

 可聴範囲を超えた高周波が人体や脳に、どのような影響を及ぼすのかを探求する「ハイパーソニック・エフェクト」という研究がある。それによると、高周波を含む音楽を聴いた場合、脳幹・視床・視床下部などの基幹脳部分の血流が増大し神経ネットワークを活性化、α波の増大やストレス性ホルモンの減少といった「現象」を引き起こすことが確認されている。

「良い音」と感じるメカニズムは解明されていない

 しかし、それはあくまでも人体に起こる生理現象を確認したに過ぎず、その現象がなぜ音の違いとして知覚でき音楽コンテンツにおいて「良い音」として感じるのかというメカニズムは、筆者の知る限り解明されていない。

 ハイレゾのコンテンツを「良い音」と感じるか否かは、脳を初めとする人間の体内で起きるなんらかの現象やメカニズムに由来するはずだが、それが解き明かされていない以上、今の筆者としての結論は「分からない」としか言いようがないのだ。

 このハイパーソニック・エフェクトについては、メカニズムの解明よりも、ヘルスケアやメンタルケアの分野での研究や応用に力が入れられているようだ。例えば、国立情報学研究所が運営する論文検索サイト「CiNii」で「ハイパーソニック・エフェクト」で検索すると、その分野に類する文献が目に止まりやすい。