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 また、古めの資料だが、経済産業省の「技術戦略マップ2012(コンテンツ分野)」においても、ハイレゾが「高臨場感音響システム」として取り上げられており、ハイパーソニックの導入理由として「脳機能の改善と快適・健康の増進」としている。

 ちなみに、この技術戦略マップのロードマップが実現されているとすると、2020年には、「パッケージ・放送・配信各コンテンツ音声の全面的ハイパーソニック化による脳機能低下の防御と芸術性の向上」が成されていることになっている。ただ、現実はそうなっていない。

 ハイレゾ否定派の中には、そもそもハイパーソニック・エフェクトで脳におきる現象に関する研究結果にも次の理由で疑義を向ける人がいる。「実験結果というのものは、望む結果が出たときにだけ報告され公にされる」ので、それをもってしてハイレゾが有効かどうかの判定に使えるのか、という疑問だ。

 つまり、脳内の血流が増大した実験結果だけを報告しているのではないのか、と疑っているわけだ。いち音楽制作者の筆者としては、研究者コミュニティーの事情がどうなっているのか知るよしもない。

 ただ、「分からない」と梯子を外したままでは、ハイレゾ肯定派の筆者として慚愧に堪えない。そこで、後半の次回はハイレゾ論争にまつわる話題や疑問点を示すので、ぜひ読者の皆さんの考察の参考にしていただきたい。

山崎 潤一郎(やまさき じゅんいちろう)
ITジャーナリスト
音楽制作業を営む傍らIT分野のジャーナリストとしても活動。音楽制作業では、クラシック音楽やワールドミュージックといったジャンルを中心に、多数のアルバム制作に携わる。ITジャーナリストとしては、講談社、KADOKAWA、ソフトバンククリエイティブなどから著書多数。鍵盤楽器アプリ「Super Manetron」「Pocket Organ C3B3」などの開発者であると同時に演奏者でもあり、楽器アプリ奏者としてテレビ出演の経験もある。音楽趣味はプログレ。