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 新型コロナウイルスによる製造業への影響について、2020年5⽉8⽇までに分かった主な出来事を以下にまとめた。

2020年5月2~8日

<電機・通信>

  • NEC、2020年3月期連結業績予想を上方修正。売上高は1月29日公表値から1400億円増の3兆500億円に、営業利益は同170億円増の1270億円となった。理由として、国内のICT投資が堅調に推移したことを挙げる。決算発表は5月12日を予定している。(5月8日)
  • シャープ、2020年3月期連結業績予想を下方修正。売上高は2月4日公表値から1800億円減の2兆2700億円、営業利益は同480億円減の520億円。理由として、1月下旬以降にディスプレーなどで顧客工場の稼働率が低下したことや、製品の生産・物流・販売活動が十分にできなかったことを挙げる。決算発表は5月19日を予定している。(5月8日)
<自動車>
  • ホンダ、日米で新型コロナウイルス感染防止支援。米国・デトロイト市に感染者搬送車両(仕立て車)10台を無償貸し出し。日本ではフェースシールドを生産。樹脂製部品の金型技術を使い、約3万セットを自治体を通じて医療現場へ提供する。(5月6日)
<機械・素材>
  • 日本製鉄、国内の高炉をさらに休止へ。自動車の生産停止などで需要が減退しているため。室蘭製鉄所構内の子会社である北海製鉄第2高炉について、改修のための吹き止め(操業休止)を前倒しで実施。7月上旬以降、準備が整い次第。さらに、九州製鉄所八幡地区小倉第2高炉についてバンキング(送風を停止することで、高炉を再稼動が可能な状態で休止する方法)を実施。同じく7月上旬以降に準備が整い次第。小倉第2高炉は、9月末をめどに休止予定であり、そのまま休止を迎える見込み。(5月8日)
  • リコーの2020年3月期連結決算、売上高は前期比0.2%減の2兆85億円、営業利益は同9.0%減の790億円。2021年3月期連結業績予想は、新型コロナウイルスの影響で「合理的な産出が困難」として開示しなかった。企業活動の縮小で事務機の消耗品需要が減少しているものの、業務IT化でサービス需要の拡大が期待できるという。(5月8日)
  • HOYAの2020年3月期連結決算、売上高は前期比1.9%減の5765億4600万円、営業利益は同1.8%増の1472億6800万円。2021年3月期連結業績予想は、同社の中間生産材や部材が使われるハイテク部品、デジタル家電などの需要が見通せないことから、開示しなかった。第1四半期業績発表時に第2四半期累計期間の予想を、第3四半期業績発表時に通期業績予想を出すという。(5月8日)
<国内全般>
  • コンピュータエンターテインメント協会(CESA)、「東京ゲームショウ2020」についてオンラインでの開催を検討と発表。9月24~27日に幕張メッセ(千葉市)で開催する計画だった。(5月8日)
  • アパレル大手のワールド、医療用ガウンとマスクの生産を発表。国内6カ所の自社工場を中心に生産する。(5月7日)
  • 北里大学が花王や医療系スタートアップ企業のEpsilon Molecular Engineeringと共同で新型コロナウイルスの感染を抑える抗体を開発。特徴は小型かつ安価なことで、通常の抗体と比べて保管と輸送の面で優れる。今後は、製薬会社など提携相手を探して製品化を目指す。(5月7日)
  • 日本政府、緊急事態宣言を5月31日まで延長と発表。東京や大阪など13都道府県は「特定警戒都道府県」として、これまで同様の取り組みを要請。それ以外の34件は段階的に社会経済活動のレベルを上げていく。(5月4日)
<海外>
  • 米アップル(Apple)、開発者会議「WWDC20」を6月22日からオンラインで開催すると発表(5月5日、関連記事)。
ホンダが米国デトロイト市へ納車した感染者搬送車(出所:ホンダ)
ホンダが米国デトロイト市へ納車した感染者搬送車(出所:ホンダ)
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2020年5月1日

<電機・通信>

  • ヤフー、東京・大阪エリアの人出減少率を可視化したレポートを公開。1月との比較で週末の人出減少率を可視化した「ヒートマップ」を作成した。
  • シャープ、自社生産マスクの個人向け販売について毎週水曜日に抽選を実施すると発表。
<自動車>
  • スズキ、5月11日以降の国内工場の稼働計画を発表。5月14、15、22日に磐田工場は稼働を停止し、湖西工場は一部操業に生産調整を行う。相良工場は11~22日まで1勤での生産に抑える。他の期間は通常通りの操業。(5月1日)
  • トヨタ自動車九州、医療機関にフェースシールド2000個を提供。
  • 三桜工業、2020年3月期連結決算の発表を延期。当初は5月14日を予定していた。日程が決まり次第、改めて発表する。
<機械・素材>
  • ヤマハ発動機、フェースシールドや次亜塩素酸水の生産開始を決定。フェースシールドは、5月中旬をめどに静岡県磐田市医師会を通じて近隣医療機関に提供する。
  • ブリヂストン、自社生産のウレタンを活用したマスクを自社工場が立地している自治体にも提供。5月の大型連休明けから計30万枚を順次提供する。もともとは自社で活用し、市場調達量を削減するのが狙いだった。
  • ジャムコ、2020年3月期連結決算の発表を5月18日に延期。当初は同月11日を予定していた。
  • トピー工業、2020年3月期連結決算の発表を5月26日に延期。当初は同月8日を予定していた。
  • KYB、2020年3月期連結決算の発表を5月27日に延期。当初は同月13日を予定していた。

2020年4月29~30日

<電機・通信>

  • 日本電産の2020年3月期連結決算、売上高は前期比4.0%増の1兆5348億円、営業利益は同14.6%減の1103億円。2021年3月期は、設備投資や研究開発費を前期よりも増やしつつ、増益を狙う。予想値は、売上高が前期比2.3%減の1兆5000億円、営業利益が同13.3%増の1250億円。2020年3月期の設備投資と研究開発費は、それぞれ1400億円(前期は1329億円)、850億円(同786億円)の計画。(4月30日)
  • 村田製作所の2020年3月期連結決算、売上高は前期比2.6%減の1兆5340億円、営業利益は同5.1%減の2532億円。2021年3月期は新型コロナウイルスの影響で大幅な減収・減益を見込む。予想値は、売上高が前期比6.8%減の1兆4300億円、営業利益が同17.1%減の2100億円。2021年3月期の設備投資は「中期的視点に立ち、需要の拡大が期待できる製品の生産能力増強投資、生産工場棟や研究開発施設の建設を中心に」(同社)2000億円を投じる計画。前期は2816億円だった。2021年3月期の研究開発費については1100億円と前期の1025億円から増やす。(4月30日)
<自動車>
  • 日産自動車、完成車を生産する英国のサンダーランド工場を6月初旬から段階的に再稼働すると発表。同工場は3月17日から4月末まで操業を止める計画だったが、さらに約1カ月止める。(4月30日)
  • トヨタ自動車、トヨタレンタリース店で中古車のリース提供を廉価で開始。対象は、医療機関や公共交通機関など社会生活を支えるために、従業員の通勤などで移動を要する全国の法人。4月30日から新型コロナウイルス感染拡大が収束まで。(4月30日)
  • アイシン精機、医療現場向けの簡易ベッド台と簡易間仕切りの生産を5月中旬に開始。生産予定数は、簡易ベッド台が1日当たり2台、簡易間仕切りが同16組。医療現場の要望に応じて供給する。(4月30日)
  • デンソーの2020年3月期連結決算、売上高は前期比3.9%減の5兆1534億円、営業利益は同80.7%減の610億円。営業利益の悪化要因として、品質費用(2220億円)と新型コロナウイルスによる操業度差損(430億円)などを挙げる。2021年3月期の連結業績予想は「算定が困難」(同社)として開示しなかった。設備投資や研究開発費も未定としている。(4月30日、関連記事
<機械・素材>
  • 東洋製缶グループホールディングス、神奈川県と共同で、希釈済み高濃度アルコールを詰め替え用としてアルミボトル缶に充てんし、同県内の医療施設に配布。不足している手指消毒エタノールの代替として。詰め替え用の樹脂製容器も需要過多になっていることから容量400mLのアルミボトル缶を使った。4月27日~5月6日の期間限定の取り組みで、約3万5000本を配布する予定。(4月30日)
  • ユニチカトレーディング、医療用ガウンの生産を開始。防護服専門メーカーのエイブル山内と連携し、国内外の縫製工場を活用した生産体制を構築。9月末までに約400万着を関係省庁に供給する。(4月30日)
  • 三井化学、医療用ガウンの原料である不織布の供給を開始。完全子会社であるサンレックス工業のおむつなど向け衛生材用不織布の製造ラインを活用。月産1000万枚分以上の生産体制を確立した。縫製メーカーなどと連携し、国産医療用ガウンの早期確立を目指す。(4月30日)
  • コクヨ、簡易フェースシールド4万3000個、「レールクリヤーホルダー」3万6000枚を5月末までに医療現場に無償提供。レールクリヤーホルダーは、医療機関関係者が採用したことがきっかけで、フェースシールド代用素材になることが分かった。(4月30日)
<国内全般>
  • ファーストリテイリング、医療用ガウン20万着と機能性肌着「エアリズム」を国内医療機関に寄贈。医療用ガウンは中国の自社取引先工場から調達し、5月中旬をめどに提供できる見込み。機能性肌着は、既に欧州や東南アジア各国では提供しており、防護服やガウンの下に身に着けることで、「蒸れなどによる肉体的負担を緩和できる」などの声が寄せられているという。(4月30日)
<海外>
  • 米アップル(Apple)の2020年1~3月期決算、売上高は前年同期比約1%増の583億1300万米ドル。端末の販売減をコンテンツ配信やクラウドストレージなどサービスの伸びで補った。4~6月期の売上高予想は開示しなかった。(4月30日、関連記事
  • スウェーデンのボルボ・カー(Volvo Cars)、ホワイトカラー職1300人の削減を発表。新型コロナウイルスの影響で構造改革の妥当性が高まったと説明。製造部門は今回の人員削減の対象にはならない。(4月29日)

2020年4月28日

<電機・通信>

  • NTTコミュニケーションズやNTT東西、通信トラフィック状況を更新。NTTコムの4月20日の週、平日昼間の通信量は前週比7%増加。
  • ソフトバンク子会社のAgoop、位置情報(人の流れ)の解析結果の無償公開対象エリアを拡大。これまで全国49カ所の主要な駅や観光地のデータを提供していたが、100カ所に順次増やしていく。自治体や報道機関による検証などの用途を想定。
  • NTTドコモの2020年3月期連結決算、売上高は前期比3.9%減の4兆6512億円、営業利益は同15.7%減の8546億円。2021年3月期業績予想については、「合理的な算定が困難」(同社)として、開示しなかった。
<自動車>
  • 日産自動車、2020年3月期業績予想値を下方修正。最終赤字を見込む。2月13日時点では営業利益850億円、純利益650億円と予想していたが、それぞれ1200億~1300億円、1500億~1600億円悪化する見通し。営業利益の主な悪化要因は、新型コロナウイルスによる販売減の影響が約900億円、貸倒引当金の追加計上による影響が約300億円。併せて、決算発表も5月28日に延期。当初は同月中旬を予定していた。
  • トヨタ自動車、医療用フェースシールドの生産を本格化。生産能力を現在の約20倍の月産4万個に高めた。今後、同約7万個まで引き上げる。グループ会社でも生産に着手している。
<機械・素材>
  • インターステラテクノロジズ、5月2~6日の期間中に予定していた観測ロケット「MOMO5号機」の打ち上げを延期。発射場のある北海道・大樹町からの延期要請を受け。延期後の日程は未定。大樹町は緊急事態宣言下で、大勢の打ち上げ観覧者が来町するのを不安視。
  • 住友ゴム工業、医療用ニトリルゴム手袋を日本政府に寄付。強度や耐油性、対薬品性に優れ、医療現場で多く使われる万能タイプの手袋。9万7500双(組)。
  • 住友ベークライト、フェースシールドの生産を決定。プラスチック加工技術を生かす。消毒用アルコールなどによる曇りや強度低下を起こしにくく、繰り返しの使用が可能。まず試供品として100セット(1セットはホルダー1個と交換用面体10枚)を東京都および神奈川県内の病院に無償提供。同数を所管省庁にも無償提供する予定。さらに、5月中に量産品の販売を開始する。月産1万セットの生産体制を構築する。
  • 横浜ゴム、国内拠点を臨時休業。4月末~5月8日にかけて、東京都港区の本社や平塚R&Dセンターなど全国6カ所の拠点を休業とする。
  • オークマの2020年3月期連結決算、売上高は前期比18.7%減の1720億9400万円、営業利益は同45.6%減の149億9500万円。米中貿易摩擦や新型コロナウイルスで工作機械需要が世界的に減少。2021年3月期業績予想については、「見通すのが困難」(同社)として、同上期(2020年4~9月)の業績予想を開示。売上高は前年同期比35.1%減の580億円、営業利益は94.6%減の5億円。
  • マブチモーターの2020年12月期第1四半期(1~3月)連結決算、売上高は前年同期比12.2%減の289億8100万円、営業利益は同30.8%減の30億7800万円。新型コロナウイルスの影響でモーター需要が減少。プロダクトミックスが改善するも為替や販売減の影響で減益。通期業績については、「合理的な算出が困難」(同社)として、2月13日公表の予想値を取り下げた。
  • 富士フイルムホールディングス、2020年3月期連結決算の発表を5月22日に延期。当初は同月13日を予定していた。
  • 住友大阪セメント、2020年3月期連結決算の発表を5月22日に延期。当初は同月14日を予定していた。なお、新型コロナウイルス感染症による業績への影響は軽微だという。

2020年4月25~27日

<電機・通信>

  • 京セラの2020年3月期連結決算、売上高は前期比1.5%減の1兆5990億円、営業利益は同5.7%増の1001億円。在庫調整長期化や新型コロナウイルスの影響で売り上げは減ったものの、前期に計上した構造改革費用などの影響(約685億円)がなくなったこともあり増益となった。2021年3月期は減収・減益を見込む。(4月27日)
  • ルネサス エレクトロニクスの2020年12月期第1四半期(1~3月)連結決算、売上高は前年同期比19.0%増の1787億4300万円、営業利益は133億1300万円(前年同期は13億7000万円の損失)。2019年3月に買収を完了した米IDTの売上高が計上されたことや、前年同期に行っていた流通在庫の調整が完了したことなどが増収の理由。増収に伴って損益も改善した。2020年12月期通期の業績予想は「合理的な算定が困難」として開示していない。(4月27日)
  • パナソニック、2020年3月期連結売上高の予想値を下方修正。7兆4500億円を見込む。前回(2月3日)発表値から2500億円の減少。新型コロナウイルスによる需要減や、工場稼働停止などによる販売機会損失が理由。営業利益の予想値は据え置いた。(4月27日)
  • JVCケンウッド、2020年3月期連結業績予想値を下方修正。売上高は2900億円、営業利益は40億円を見込む。2019年4月26日発表の期初予想値から、それぞれ200億円、34億円の減少。新型コロナウイルスや為替の影響が理由。(4月27日)
  • 村田製作所、グループの富山村田製作所の工場で勤務する従業員1人の新型コロナウイルス感染を発表。4月24日に富山県内で確認された感染者(同日に富山県が公表)の濃厚接触者。25日にPCR検査を行い、感染を確認。翌26日まで富山村田製作所の操業を停止。関連施設は消毒。(4月25日)
<自動車>
  • トヨタ自動車、インドネシアの2工場の稼働を再開。通常は2直体制だが、当面は1直体制で生産する。(4月27日、関連記事
  • SUBARU、停止中の国内車両工場2拠点の生産を5月11日に再開すると発表。稼働時間を通常の2直体制から1直体制へと半分に減らす。生産調整は同月29日までの予定。(4月27日)
  • スズキ、2020年3月期連結決算の発表を5月26日に延期。当初は同月中旬を予定していた。(4月27日)
  • ダイハツ工業、本社地区の従業員1人の新型コロナウイルス感染を発表。在宅勤務中に同居家族から感染したとみられる。(4月27日)
  • トヨタ自動車、自動車競技の相次ぐ中止に伴い、オンラインの競技「TGR e-Motorsports Fes」を4月29日に開催すると発表。小林可夢偉選手など13人が、自宅やスタジオから「グランツーリスモ」で競う様子を配信する。(4月27日)
<機械・素材>
  • 大王製紙、不織布マスクの国内自社生産を開始。子会社のエリエールプロダクトに1ラインで月1300万枚を生産可能な設備を導入し、4月末に生産を始める。月産400万枚で運転を開始し、感染対策でマスクを必要とする機関や施設などに優先して供給する。設備を増強し、7月には月2600万枚まで生産可能枚数を増やす。(4月27日)
  • IHI、2020年3月期連結決算の発表を5月後半に延期。当初は同月12日を予定していた。具体的な日程が決まり次第、改めて公表する。(4月27日)
  • 椿本チエイン、2020年3月期連結決算の発表を延期。当初は5月8日を予定していた。具体的な日程が決まり次第、改めて公表する。(4月27日)
  • 三菱マテリアル、2020年3月期連結決算の発表を5月27日に延期。当初は同月13日を予定していた。(4月27日)
  • フジクラ、2020年3月期連結決算の発表を5月28日に延期。当初は同月12日を予定していた。(4月27日)
<国内全般>
  • 日本交通、東京都内で料理宅配サービスを4月25日に開始。5月13日までの期間限定。配送エリアは東京23区、武蔵野市、三鷹市。国土交通省がタクシー事業者による有償貨物運送を特例的に認める通達を4月21日に出し、日本交通が翌22日に都内第1号として許可されていた。(4月27日)
<海外>
  • 米ボーイング(Boeing)、ブラジルのエンブラエル(Embraer)との事業統合を中止。期限の4月24日までに交渉がまとまらず。