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 これまで3回にわたり、CASEを中心とした自動車業界の変革を「MX」「EX」「DX」としてまとめ、乗用車メーカーにとっての新規事業/既存事業両面での対応の方向性を解説してきた。しかし、対峙すべき課題はそれだけにとどまらない。自動車業界にとって今後現実的な問題として顕在化するであろうテーマについて2回にわたり補論として触れておきたい。1回目は「サーキュラーエコノミー(Circular Economy:CE)」を取り上げる。

サーキュラーエコノミー(CE)とは?

 自動車は耐久消費財の王様だ。2トンもの金属の塊が毎年9000万台以上新たに生産されている。同時にそれは資源の大量消費をもたらすものでもある。日本では、近年の異常気象もあり、地球温暖化とその原因とされるCO2排出削減に対する報道が多いが、資源枯渇もそれと並ぶ大きな環境問題の一つなのである。WWF(世界自然保護基金)が、2030年には地球2個相当の資源量がないと人々の生活を維持できないと警鐘を鳴らすほどだ。

 CEとは、資源の大量消費/廃棄を前提とした従来の直線的なビジネスを改め、資源をなるべく“使い倒し”て再循環させ、資源消費と経済成長を分離(デカップリング)し、両立を目指すものである(図1)。

図1
図1
(デロイト トーマツが作成)
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 具体的には、モノの「作り方」「使い方」双方に変革をもたらすものだ。後者は、主にシェアリングやサービスとしてのモビリティー利用にあたり、また、中古車事業の資源効率性も注目されるだろう。本稿では、前者のモノの「作り方」に焦点を当てる。

 モノの「作り方」を変えることには、再利用/解体しやすい設計(エコデザイン設計)、部品のリサイクルやリマニュファクチャリング(再生産)、廃棄物を再処理した再生材の調達などが含まれる。CEを提唱する欧州ではCEパッケージの中で、リサイクル性にとどまらないエコデザインと製品への再生材(2次資源)の活用範囲の拡大を掲げており、日本企業が従来から取り組む「3R(Reduce, Reuse, Recycle)」の延長にとどまらない動きが求められてくる。さらに踏み込むと、そこに欧州の深謀遠慮が見え隠れするのである。

 まずは欧州のCE戦略を概説し、自動車業界への影響を整理する。