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 ふくおかフィナンシャルグループ(FG)は2021年春ごろの創業を目指し、新たなネット銀行「みんなの銀行」の基幹系システムをクラウド上に構築中だ。クラウドの最新機能やコンテナ、マイクロサービスなど最新ITを駆使する。機能拡張が容易といったクラウドネイティブならではの「柔軟性」を実現しながら、銀行基幹系に求められる「堅牢性」をクラウド上で担保しようという挑戦である。

 DX(デジタルトランスフォーメーション)の機運が高まるなか、クラウドネイティブな次世代「基幹系クラウド」を構築しようとのニーズは金融のみならず、全ての業種・業態に及ぶ。ふくおかFGのシステム構築を支援するアクセンチュアへの取材から、DXに照準を定めた次世代基幹系のアーキテクチャーや開発・運用手法、その実力を探っていこう。

単純移行ではクラウドの良さを生かせない

 みんなの銀行のシステム基盤となるのが、アクセンチュアがGoogle Cloud Platform(GCP)上に構築する「アクセンチュア クラウドネイティブ コアソリューション」(通称MAINRI、メイリー)である。基幹業務システムにおけるマイクロサービスの活用や、外部サービスとのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)連携、データウエアハウス(DWH)を中心としたデータ分析機能などを備える。

Google Cloud Platform上に構築した「MAINRI」の概要
Google Cloud Platform上に構築した「MAINRI」の概要
(出所:アクセンチュア)
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 ふくおかFGとアクセンチュアが新銀行の構想を開始したのは2018年春のことだという。「当初はパッケージソフトも調べたが、クラウドネイティブでスケールする銀行パッケージがなかった」。アクセンチュア テクノロジー コンサルティング本部 インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービス グループ日本統括の山根圭輔マネジング・ディレクターは当時を振り返る。

 最近、日本でも銀行業務をクラウド上に移行する事例が増えている。ただし、多くの事例がオンプレミス(自社所有)環境からの単純移行である。アクセンチュア テクノロジー コンサルティング本部 インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービス グループ テクノロジーアーキテクトリードの水上廣敏 マネジング・ディレクターは「オンプレミスからの移行でコスト削減は可能かもしれないが、単純な引っ越しではクラウドの良さを生かしきれない」と指摘。みんなの銀行の基幹系システム構築に際しては、MAINRI上に一から組み立てる、クラウドネイティブなアプローチに踏み切った。

 「クラウド上でスケーラビリティーや可用性、セキュリティーなどが確保できることを銀行業務で証明すれば、今後のDXを支える全ての業務の基幹系として十分利用可能だ」。山根ディレクターがこう話すように、アクセンチュアはMAINRIを次世代基幹系を支えるフレームワークと位置づけ、銀行業務で得たノウハウの横展開を視野に入れる。

アーキテクチャー上の4つのポイント

 「みんなの銀行」のシステムを支えるアーキテクチャーには4つのポイントがある。(1)全てをクラウドに、(2)オートメーション銀行、(3)アーキテクチャーに組み込んだセキュリティー、(4)「銀行」から開放された基幹系、である。