携帯大手3社は5G(第5世代移動通信システム)の商用サービス開始に合わせ、大容量と段階制の2種類の料金プランを用意した。注目は前者の大容量プランだ。モバイルルーターや自宅の固定回線は不要と考える人も多いのではないだろうか。
例えばNTTドコモの「5Gギガホ」は月100Gバイトまでの通信量を使え、当面は「データ量無制限キャンペーン」が適用される。KDDI(au)の「データMAX 5G」はテザリングなどが月30Gバイトまでに制約されるが、スマホのデータ通信は無制限だ。ソフトバンクの「メリハリプラン」は月50Gバイトまでとはいえ、指定のSNSと動画サービスの通信は使い放題となっている。
そこで5Gの料金プランを、他の大容量をうたった通信サービスと比べてみた。
料金も世代も違うRakuten UN-LIMIT
大容量をうたったモバイル回線と聞いて、楽天モバイルが2020年4月8日に本格サービスを始めた「Rakuten UN-LIMIT」を思い浮かべた人も多いはずだ。同社は2020年6月に5Gの商用サービスを始める計画だが、現状は4Gのサービスになる。
Rakuten UN-LIMITは、楽天回線につながる場所でのデータ通信は使い放題だ。楽天回線につながらない場所はauのローミングを利用することになる。こうした「パートナー回線エリア」で使う場合は、月に5Gバイトまで高速通信が可能。超過後は通信速度が最大1Mビット/秒に制限されるが、この速度での通信は無制限だ。
同社は300万人を対象に月額2980円の料金を1年間無料で提供する。300万人に達したとの報道はまだ出ていないので、これから申し込んでも無料の対象となるだろう。
ドコモ | au | ソフトバンク | 楽天モバイル | ||
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プラン | 5Gギガホ (dカード支払時) | データMAX 5G (2年契約N適用時) | メリハリプラン | Rakuten UN-LIMIT | |
対応機種の下り最大速度 (機種によって異なる) | 最大3.4Gビット/秒 (6月以降に最大4.1Gビット/秒) | 最大2.8Gビット/秒 (夏以降に最大4.1Gビット/秒) | 最大2.0Gビット/秒 | 最大400Mビット/秒 | |
データ容量 | 100Gバイト (当面は無制限) | 無制限 | 50Gバイト (対象のSNSと動画は使い放題) | 楽天回線エリアは無制限 au回線エリアは5Gバイト | |
超過後の通信速度 | 最大3Mビット/秒 | 最大128kビット/秒 | 最大1Mビット/秒 | ||
テザリング | 可 | 30Gバイトまで | 月額500円のテザリングオプションへの加入が必要 | 可 | |
基本料金 | 7480円 | 8480円 | 8480円 | 2980円(1年間無料) | |
割引 | 購入後6カ月間の割引 | -1000円 | -1000円 | -1000円 | |
5G向けのキャンペーン | -1000円 | -1000円 | |||
固定回線とのセット割引 | -1000円 | -1000円 | -1000円 | ||
家族利用割引 | 2回線:-500円 3回線以上:-1000円 | 2人:-500円 3人:-1000円 4人以上:-2020円 | 2人:-500円 3人:-1500円 4人以上:-2000円 | ||
支払額 (テザリングを使う場合) | 固定回線とのセット割引と家族利用割引が適用されない場合 | 6カ月目まで:6480円 7カ月目以降:7480円 | 6カ月目まで:6480円 7カ月目以降:7480円 | 6カ月目まで:6980円 7カ月目以降:7980円 | 1年目:無料 2年目以降:2980円 |
全ての割引が適用された場合 | 6カ月目まで:4480円 7カ月目以降:5480円 | 6カ月目まで:3460円 7カ月目以降:4460円 | 6カ月目まで:3980円 7カ月目以降:4980円 |
携帯大手3社の5G向け料金プランは、固定回線とのセット契約や家族契約による割引が適用されない場合、一律で月額7480円(6カ月間は6480円)。ただしソフトバンクは、パソコンなど他のデバイスを5Gスマホ経由でネットに接続するには、月額500円のテザリングオプションに加入する必要がある。このためソフトバンクはテザリングオプションの料金を加算した額で比較した。
料金に関してはRakuten UN-LIMITが圧倒的に有利である。この状況は月額2980円が課金される2年目になっても変わらない。一方、速度は5Gサービスが圧倒的に有利だ。通信量で最も有利なのはドコモ。テザリングに条件があるauと、通信量が50Gバイトのソフトバンクは使い方にもよるがドコモより不利になる。
Rakuten UN-LIMITについては、どの程度の通信速度まで許容できるかで評価が変わってくる。4Gのスピードで十分であれば、東名阪を中心とした既に楽天回線につながるエリアでは有利。1Mビット/秒で困らないのであれば、パートナー回線エリアの通信も無制限なので有利だと言える。
通信速度に不満があり、パートナー回線エリアで5Gバイト超過後の速度制限を解除するには、1Gバイト当たり500円の追加料金を支払う必要がある。例えば10Gバイトを追加すれば5000円だ。2年目以降の支払総額は7980円となる。こうなると携帯大手3社の5Gプランよりも高くなる。