全5545文字
PR

センサーの高性能化やAIの活用も進む

 自動車部品メーカーも、自家用車における自動運転レベル3、4の実用化を見据え開発に力を入れる。

 Continentalが注力しているのは、(1)高速道路での条件付き自動運転、(2)自動駐車、(3)レベル2の要素技術の性能向上―に向けた技術開発である。一例が、多くの情報を遅延少なく処理できるAIのアルゴリズムとチップ。同社は、米エヌビディア(NVIDIA)と提携し、共同で開発している。

 AIを使うのは、既存のルールベースの手法より高速化できるからだ。物体の認識や車両の軌道計画の作成への適用を想定する。同AIチップには、GPU(Graphics Processing Unit)だけでなく様々なアクセラレーター(SoC)を盛り込む。

 新たな車載HMIの開発も進めている。レベル3の車両では、ビデオ通話やインターネットの閲覧、映画やテレビ番組の鑑賞など、非運転行為に運転者が関わる機会が増えていく。それらの非運転行為を、より安全かつ快適に実施できるように支援するのが車載HMIの役割だ。運転者の車内体験を拡大し、運転から気をそらせることなく簡単かつ効果的に車両とやり取りできるソリューションの構築を目指す。裸眼の3次元ディスプレーを使った車載HMIなどを開発している(図5注3)

図5 車載用の裸眼3Dディスプレーのイメージ
図5 車載用の裸眼3Dディスプレーのイメージ
建物などが立体的に浮かび上がる3次元(3D)表示や曲がる方向を立体的に強調した視認性に優れるカーナビゲーションに加え、3D表示を生かした没入型のエンターテインメントコンテンツなどの表示が可能になる。(出所:Continental)
[画像のクリックで拡大表示]
注3)Continentalはシリコンバレーの米レイア(Leia)と提携。Leiaが持つ回折光フィードバックライト(DLB)による裸眼3Dディスプレー技術を使った次世代の車載HMIを開発中だ。同技術を使うと、車内のどこに座っている人でも3次元のコンテンツを見られる。

 ちなみに、同社が自家用のレベル3、4の適用の入り口と考えているのは、高速道路の条件付き自動運転では渋滞時の低速走行、自動駐車では自動バレーパーキングである。後者は、玄関などで運転者が降車したら、駐車スペースまで車両が自動で移動し、乗車時は逆に玄関から車両を呼び出すといったものだ注4)

注4)クラウドや管制棟と連携し、スマートフォンのアプリを使って実現する。

 フランス・ヴァレオ(Valeo)が取り組んでいるのは、センサーの高性能化、センサーのクリーニング技術の開発、AI技術の活用―である。

 例えば、LIDARでは、自動車メーカーの要求に合わせ、検知可能距離を延ばす取り組みを進めている。さらに、LIDARの垂直画角を従来の3度から10度に拡大し、トラックなど全長の長い車両や道路への落下物、道路のマーキングなどを詳細に識別できるものも開発済み。低コスト化に有利なMEMSのミラーを使うLIDARも開発中だ。自動駐車への適用をにらみ、小型で前後方向の画角が広い近距離検知用のLIDARの開発も進めており、駐車時の巻き込み防止に使えるという。

 全方位カメラでは、映像取得だけでなく物体検知の機能を持たせ、駐車時に他の車両の検知を可能とする。既に搭載が進んでいる同カメラを別の用途でも使えるようにすることで冗長化によるコストアップを軽減する。SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を適用し、自宅など特定の駐車場における自動駐車に必要な駐車場の地図を作製可能なものも開発している。運転者が駐車の見本を示して車両に学習させると、車両自らが地図を作製し学習した経路をトレースできるようになる。また、全方位カメラに付いた水滴や湿気を水圧で飛ばすクリーニング技術も開発している(図6)。堅ろう性と信頼性の向上につながる注5)

図6 クリーニング機構付きのカメラ
図6 クリーニング機構付きのカメラ
カメラに付いた水滴や湿気を水圧で飛ばす。(出所:Valeo)
[画像のクリックで拡大表示]
注5)この他、運転者監視カメラでは、フロントピラーに取り付けて運転者の視線や頭の向きを検知できるものを開発。3次元のTOF(Time Of Flight)カメラの技術を用いてジェスチャーも認識できる技術も開発している。

 AI技術の活用では、AIを使って判断ロジックを学習させる取り組みを進めている。自動運転のレベルが上がるほど、処理しなければならない情報は増える。AIを使って個々の状況に対して正解を個別に学習させるのではなく、さまざまな状況を考慮してどう判断すべきかのロジックを一括して学習させるアプローチだという。CES 2020では、歩行者がどちらの方向に歩いていくかをAIによる判断ロジックで予測する技術を披露した。