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 建設業界は否が応でも在宅勤務を本格化させ、テレワークを進展させなければならない局面を迎えた。会社によってはまだ、急な在宅勤務のスタートに戸惑っているところも多いはずだ。そこで、建設業界のテレワークに役立つ情報などをテーマにお伝えしていく。

 テレワークの大前提として、ビデオ会議やウェブ会議、チャット、インターネット電話といったコミュニケーション用のツールと、自宅のネットワーク環境の整備が欠かせない。まずはこれらがないと、話が始まらない。

 「パソコンを持っていない」「自宅のネットワークが遅くて、仕事にならない」と嘆き、外出自粛のさなかに出社してしまう社員が出てきては、新型コロナウイルスの感染拡大は防げない。そうならないために本来は、会社が従業員にノートパソコンやタブレット、スマートフォンといった自宅に持ち帰れる端末を支給。コミュニケーション用のソフトやサービスのライセンス(使用権)を用意し、安全な通信環境も提供すべきである。

 以前からテレワークに備えてきた建設会社は、緊急事態宣言が出た後に慌てることはなかった。しかし、ハードもソフトも通信環境も整わない中で在宅勤務を命じられた場合は、従業員は自分のパソコンや家庭で契約したネットワークを使って働くしかない。

 私物の端末を業務に利用する「BYOD(Bring Your Own Device)」の是非は、20年以上前から取り沙汰されてきた。今後、在宅勤務が長期化しそうであることを考えると、会社としてテレワーク環境の整備に素早く投資するか、従業員に通信費や光熱費などの「テレワーク補助」を実施すべきだろう。今なら、国や自治体の助成金が使える場合もある。

 建設業界の仕事は、受発注や設計協力、施工協力にまつわる関係者(ステークホルダー)が多いのが特徴だ。当然、利用する端末も、ITリテラシーの高さも、会社や個人によってバラバラである。いまだにガラケー(フィーチャーフォン)を使っている人も大勢いるし、自宅には固定電話しかない(あるいはネット環境がない)人もいる。テレワークの対象とする人と業務をどこまで広げるかは、会社や目的によって違ってくるだろう。

危険性があっても、1日の参加者が延べ3億人超えのZoom

 簡単なやり取りであれば、FacebookメッセンジャーやLINE、Twitterでも、複数人をグループ化したコミュニケーションが可能である。だがそれらは通常のビジネス利用というよりは、急ぎの連絡手段として使う個人利用が一般的といえる。

 そこで必要に迫られて、急速に利用者を増やしているのが、複数人によるビデオ通話を可能にするツールだ。主な製品やサービスを下の表に列挙しておく。Chatwork、FaceTime、Google ハングアウト、Skype、Slack、Teams、Webex、Zoomといったところだ。ライセンス体系や一度に参加できる人数などに違いがあるので、詳しくは日経クロステックの比較記事などを参照してほしい。

テレワークで使える主なコミュニケーションツール
製品・サービス提供会社分野
ChatworkChatworkビジネスチャット
FaceTime米アップルビデオ会議
Google ハングアウト米グーグルビデオ会議
Skype日本マイクロソフトインターネット電話
Slack米スラックビジネスチャット
Teams日本マイクロソフトビジネスチャット
Webex米シスコシステムズテレビ会議
Zoom米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズビデオ会議

 利用者の獲得に向けて、期間限定で無償で使えるサービスも増えている。導入前には必ずチェックしておこう。

 強調しておきたいのは、セキュリティーの問題である。急速に普及している米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(Zoom Video Communications)のビデオ会議「Zoom(ズーム)」は利用者が爆発的に増えた途端に、脆弱性も次々と明らかになっている。情報漏洩などの危険性があるため、他のソフトやサービスも常に最新の状況をチェックしておきたい。

 「Zoomの参加者同士で、図面を見ながら話し合うのは非常に効率的」との声がある。建設会社や設計事務所にはありがたいツールだ。

 しかし、本誌がゼネコンなどにヒアリングした範囲だが、安全性を考慮してZoomの利用を制限している会社もあった。利便性と安全性のバランスを見ながら、簡単なミーティングなどZoomを使っても問題ないときは、積極的に利用すればいい。Zoomは2020年4月末に、1日の参加者がついに延べ3億人を超えた。もはや、社会インフラになりつつあるのも事実だ。

 こうした運用ルールは一従業員の考えではなく、会社のトップやセキュリティー管理者が責任を持つ「セキュリティーポリシー」に照らして判断すべきものである。しかし、急なテレワークの開始で、社内ルールの整備が追いついていないケースが多いはずだ。まずは運用しながら、早急にルールを決めて徹底させる必要がある。

 セキュリティー対策として、会社と自宅をつなぐ、暗号化されたVPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク、仮想私設網)の整備も外せない。こちらも無償のサービスが提供されるなど、選択肢は増えている。

 注意が必要なのは、VPNを使った途端に画面の動作が遅くなったり、特定のアプリが使えなかったり(あるいは動作が不安定になったり)といった、普段の仕事環境との相性の悪さが露呈する可能性があることだ。ネットワークを介した設計業務ではVPNが必須だが、ただでさえ動作が重い設計ソフトと図面データがサクサク動くテレワーク環境の整備は、各社とも今後の課題になりそうだ。後述するが、決め手はクラウド利用にある。